恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

銭湯で、現代のジミヘンに、出会った。

こんヴァンゲルス、銭湯難民です。

我が家は東京の荒れ野にあるため、徒歩圏内に銭湯がありません。ゆえに肌の渇きを癒したいときはバイクでビューンして、あちこちの銭湯へ赴くこととなります。そんな銭湯の中で、比較的うちから近い場所の、東京都は世田谷区の用賀にある藤の湯さんで、お湯にザブングルしてきました。

目的の銭湯は、車通りに面したマンションの横手をちょっぴり奥に入った、旗竿地かな?ってところにありました。手前にマンションの駐輪場がありましたが、銭湯利用者がそこに置くのは禁止の様子。なので、自転車などで行かれる方は銭湯側の限られたスペースに駐輪しましょう。私は原付二種で行きましたが、自転車がパンパンに並んでいて、どうしたもんかと悩みました。しかし、ちょうど風呂上がりで帰宅するご婦人の分が空いたので、運よくすぐに停められラッキッキー。混雑する時間帯(夕飯前とか)に行く場合は注意が必要ですね。

藤の湯さんですが、結論から言えば、「簡にして要」な銭湯でした。

そんなシンプル・イズ・ユーな藤の湯さんの中をのぞいてみましょう。とはいっても、写真撮影は禁止なのでテキストのみの紹介です。

内部の写真が見たい方は、すばらしい記事が世の中には既にあるのでそっちをご覧ください。
【世田谷区 / 用賀駅】カキツバタに檜風呂。唯一無二の趣を放つ「藤の湯」の世界へ【PART.1】
【世田谷区 / 用賀駅】カキツバタに檜風呂。唯一無二の趣を放つ「藤の湯」の世界へ【PART.2】

脱衣場は、ホント昔ながらの木造ベースなザ・銭湯の趣きがあり、ノスタルジーが爆発でした。壁面には世界のクジラが一堂に会したポスターが掛かっていて、シー・シェパードもニッコリ。また、別の壁面にはフクロウの木版画がたくさん飾られていたりで、遊び心ある趣向がちらほら。なぜかフクロウの中にひとつだけジミ・ヘンドリックスがまじってるのもソー・クール。

ちなみに、テレビもあることにはありますが、20インチもなさそうな、ささやかサイズのものが、壁にちんまり据え付けられてます。他の銭湯だと、テレビは脱衣場の真ん中・頭上にドカーンと鎮座ましましだったりしますが、藤の湯さんはテレビなんぞを神棚よろしく掲げたりしないのです。あくまでメインは、風呂! クジラ! ジミヘン!

ところで、脱衣場に非常口の扉があるのですが、にじり口ほど小さくはないけど、せいぜい映画『ウィロー』に出てくる小人族の背丈ぐらいしかない、かわいらしい扉でした。非常時でなくてもくぐってみたいものです。

浴場には、3種類のお風呂があり、1つめは気泡風呂、2つめはジェットバス、3つめは鬼瓦つきの荘厳たる切妻屋根で覆われたヒノキのお風呂です。気泡とジェットは熱めのお湯ですが、ヒノキはぬるめ。しかし、ぬるいからといって余裕こいて浸かっていると、不思議なことに額から汗が垂れてくる温熱エキサイト効果です。ヒノキからヤバすぎるウッドストック成分がにじみ出ているのでしょうか。針葉樹トリップ待ったなしです。

そして、藤の湯さんの浴場で、なんといっても目を楽しませてくれるのが、お風呂をぐるりと囲んだカキツバタのタイル画です。東京は南青山にある根津美術館尾形光琳『燕子花図屏風』は、1年のうち1か月程度しか鑑賞できませんが、藤の湯さんに来れば、いつでもカキツバタが鑑賞できてしまう望外な幸せ。ちなみにカキツバタ花言葉は「しあわせは必ず来る」だそうで、幸福の科学も真っ青なハッピー体験を銭湯で味わえます。あなたの守護霊もエルカンターレですね。

ことほどさように、藤の湯さんはアーティスティックな調度が全体を支配している銭湯です。京都の船岡温泉や香川の直島銭湯ほどの過剰さや混沌っぷりではありませんが、東京ならではの控え目なスタイリッシュさに「粋だねえ」って言いたくなる、そんな銭湯でした。

なお、ここ藤の湯さんには、無念なことにサウナや水風呂がありません。そして、脱衣場内に自動販売機もありません(飲料は番台スペースの冷蔵ケースで売っています)。なので、宵越しの長湯はしないぜ、サッと浴びてサッと出る、そんな江戸っ子気質な普段使いの銭湯と言えそうです。

さておき、カキツバタの群生に見守られながら気泡風呂でくつろいでましたら、田中邦衛の老廃物を増殖させたようなおじいちゃんが脱衣場から入ってきました。おじいちゃんは座ることなく洗い場のシャワーをジャージャー流しだしたかと思うと、おもむろに股間の方へ手を伸ばし、それはそれは丹念かつ入念に陰茎を洗い出したではありませんか。

おじいちゃんの淫靡たる立ち居ふるまいとその手つきは、さながらギターを男性器に見立てて弾いたジミヘンのようでした。よって、そのおじいちゃんをジジ・センズリコックスと名付けるのもやぶさかではありません。そんなジジセンですが、陰茎ついでに肛門も周到にきちんと洗い終えたのち、入湯されました。

銭湯に入浴する前は自慰と見まがうばかりに股間を洗うべし!

ジジセンの一挙手一投足に銭湯の極意を教えてもらったようでした。

さて、みんなコピペ大好きウィキペディアで調べてみると、ジミ・ヘンドリックスはこんな言葉を残してるそうです。

Stay Beautiful,Stay You

ジジ・センズリコックスにも、こんな言葉が似合いそうです。

銭湯ビューティフル、銭湯ユー

あなたの銭湯には、なにが残りましたか?