恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

瀧を見た。

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ピエールじゃないほうのを鑑賞してきました。

横浜のそごう美術館で2019年4月14日までやってる、千住博の展覧会「高野山金剛峯寺 襖絵完成記念 千住 博展 ―日本の美を極め、世界の美を拓く―」です。

千住博というと瀧の一発屋。そんなイメージしか持ってない不遜なヤカラが私なんですが、この展覧会では千住博が瀧つぼにどっぷり沈む以前の、初期作品も展示してあって、とってもピエール興味深かったです。

※この記事ではなぜか途中で脈絡もなく人糞の表現が突然出てきますので苦手な人は気をつけてください。

千住博のイメージといえば、瀧以外だとホットドッグでしょうか。

『ニューヨーク美術案内』 という本で、NYではホットドッグとパパイヤジュースの組み合わせがおススメ、と千住博が激推ししてたので、実際にNYへ行ったときに試したこともあります。

ニューヨーク美術案内 (光文社新書)

ニューヨーク美術案内 (光文社新書)

 

書名に「美術案内」とありますが、ホットドッグのインパクトが強いため、「ホットドッグ案内」の本だと思っていいです。

 

本で紹介されてるパパイヤキングで食べたときの写真。

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NYでは、時差ボケと周りが異国の人だらけという完全アウェイな緊張感のせいで、ホットドッグを食べた記憶しかありません。あまりにもおいしかったので、食べた後にもう一回すぐ注文してまた食べました。

ところでニューヨークってだけで、なんでもかんでもインスタ映えしやがるから、なんかシャクにさわりますよね。でもソーセージが若干ウンコに見えなくもないので、スカトロ映え(蝿)と言ってやってもよさそうです。

脱糞ならぬ脱線が激しいようで失礼しました。今回はピエールの話です。

 

美術館の入口には、胡蝶蘭の花が並んでいました。

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改装オープンした場末のスナックのような倦怠感です。コカの花でも混じってたら警察に通報してやろうと思いましたが、無論ありませんでした。

 

この展覧会は20時まで開いているので、ゆっくり行こうと思い、土曜の18時半ごろに入ったんですが、どちゃくそ空いてましたね。

なお、そごう美術館は、そごう横浜の6階にあるデパート美術館です。「デパ地下」みたいな言い方をすると「デパ美館」。やはりデパート内なので、天井が低く、スペースもそんな広くない。

でも空きっぷりが激しかったので、狭さも気になることなく、ゆったり鑑賞できました。ふだんの客入りがどんなもんかは知りませんが、夕飯の時間あたりに入るのはいい作戦かもしれません。

 

入るとすぐ「断崖図」という作品が飾られています。これは、揉んでクシャクシャにした和紙に岩絵具を流した作品。

下のリンク先では、千住博が自身の言葉で解説しており、「断崖図」の画像もあります。ぜひご覧になってください。

ただ、画面で見るとまったく伝わらないんですが、実物では立体的に崖をググンと感じることができます。ずーーーっと鑑賞していると、吸い込まれそうになる没入感。いかんとも形容しがたい、静かな迫力がありました。すばらしかったです。

 

「断崖図」の次は、春夏秋冬それぞれの瀧図。

そしてまた「断崖図」が出てきます。

崖!崖!瀧!瀧!瀧!瀧!崖!崖!

崖と瀧のシンフォニーで、幽玄な世界にどっぷり浸れました。まるで、じぶんが世捨て人だか仙人にでもなった気分です。ついつい「ホッホッホッ」と笑いたくなりました。でもマジで笑ってたら恐怖の神奈川県警にコカイン疑惑でピエールされちゃいます。

 

瀧と崖のパレードが終わると、エレクトリカルパレードな「龍神」コーナーの始まり。「龍神」という、つかもうぜドラゴンボールな名前がついてますが、実は「瀧図」なんです。ここだけ写真撮影オッケー。

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蛍光塗料とブラックライトの効果により、「瀧図」がカラオケ館の壁紙へと変貌するのがお分かりいただけただろうか? 電気グルーヴの曲をハイテンションで歌いたい気分になりますね。

 

ちなみにライトはこんな感じで上に設置してありました。

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アダルトビデオの撮影現場みたいですね。


カラ館で熱唱したあと、次に控えるは、メインである高野山奉納の「瀧図」です。

瀧!また瀧かよ!瀧の逆襲!

ピエール瀧のコカイン報道に食傷気味な世相を皮肉った展示構成なのでしょうか。ミスター瀧・千住博の「瀧はゆずらないぜ!」という瀧への執念に戦慄するばかりです。

 

で、さんざん瀧のマイナスイオンを浴びたあとに、初期作品がズラッと並んでいました。千住博って産湯も瀧に浸かって生まれてきた人だろうから、大昔から瀧ばっかり描いてきたんだろうと勝手に思っていたんですが、ぜんぜんちがうんです。

アンリ・ルソーのような質感の風景画「上空の風(アンリの空)」や、マックス・エルンストのような風情の絵、にしきのあきら風の男性が描かれている屏風絵などなど。

初期のころはシュルレアリスムな作風もあったのに、そこから瀧や崖という枯淡たる境地へと到達し、画家として大成したことを考えると、人間ってどう転がっていくか分かんねえなって思いました。きさまらも人生がんばれよ。

 

「上空の風(アンリの空)」は、下記のリンク先で見ることができます。

 

虚無感あふれる「終着駅」も実によかった。千住博が描く人工物の絵は、今となってはかなり貴重でしょう。「終着駅」は、下記のリンク先で拝めます。

 

なお、軽井沢には千住博の美術館があります。絶対行ってやろうと思いました。

今回展示されていた初期作品のほとんどがこの美術館所蔵のものだったので、軽井沢へ行けば、いろんな千住博がたのしめそうです。

 

最後にミュージアムショップをのぞいたらビックリしました。デパートの美術館で1ヵ月ちょいしかやらない展覧会なのに、グッズの種類が豊富なんです。マウスパッドとかいまどき欲しい奴いるのかよと思いつつ、マグネットだけ買いました。

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右下にある、バーコードの成れの果てが「瀧図」のマグネットです。

なお、グッズの種類が多すぎるんじゃね案件ですが、5県でやる巡回展だったので、たくさんあって当然でした。

 

帰りに、崎陽軒ビルの地下にあるビアレストランで食事。

メニューを見た時点で、こういう味がするんだろうなと思って注文したら、出てきた料理は想像した通りの味がする、そのまんまのものでした。

期待を裏切らないけど超えもしない安定感にホッとします。

崎陽軒で食べているので当たり前なんですが、シウマイは崎陽軒のシウマイの味がしましたよ。

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立地を考えると、そんなに高くないし、ハートランドの生ビールがあったりするので、使い勝手は良いように思います。