恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

渋谷区役所で酒を飲み、ぐるなびに苦言を呈す。

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東京の渋谷といえば、富士そば発祥の地であり、古くはチーマーの総本山、近年ではわたしが無職のときにファイヤー通り近くのハローワークへ通ったこともあったりする、太陽系屈指のダイバーシティ。つまり、渋谷はナウなコギャルにあげぽよのブルセラ三業地です。

 

そんな渋谷という地において、外国人さんやネット界隈のあたまバブッてる人間どもに侵食されていない聖域、それが2019年1月に新庁舎をスタートさせたばかりの渋谷区役所。

その新庁舎では、夜に食事ができるし、酒まで飲めるんだそうです。役所でグビグビできるなんてエモエモってなわけで行ってきました。ちなみに、この記事のトップ写真は、在りし日の渋谷区役所・旧庁舎です。

 

往来の激しい公園通りの坂をてっぺんまでのぼって、モスバーガーのある横道を入ったところに、渋谷区役所の入口があります。

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入口を抜けて左斜め前方に、テーブルと椅子が置いてある広いスペースがあって、その奥に今回のお店「薩州そば前 くら蔵」はありました。

 

中に入ってみると、ガラーンとしすぎてて戸惑い感ハンパなかったんですが、店員さんらしき人をレジの向こう側に見つけました。

 

食券機らしきものが見当たらないので、対面で注文する方式かと思いきや、好きな席に座るよう促されます。着席してから、渡されるメニューを見て注文という、ふつうの感じです。

 

とりあえず生ビールを光速で注文。銘柄はアサヒ。

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だだっぴろい空間は公共スペースであると同時に、お店の客席として兼用で使う模様。奥の方で本を読んでるおっちゃんがひとりいましたが、店の客はわたしだけ。

 

とにかく客も利用者も全然だし、色気も殺気もあったもんじゃなく、虚無だけがジロジロのぞきこんできやがる、三次元殺風景スペースです。

 

ランチもやってるお店なので、お昼どきは混むんだろうと思いますが、夜はひと気が全然ありません。そもそも夜に役所の建物が開いてるなんて思うのは素っ頓狂のポンポコピーだけですから、お店の存在が周知されていないんだろうと思います。こんな僻地で夜も営業するなんて、罰ゲームとしか思えません。

 

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お酒のメニューを見ると、名のある焼酎が大体500円のワンコインで飲める感じ。生ビールはアサヒですが、瓶ビールはサッポロでした。瓶を頼めばよかったと、ちょっと後悔。

 

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つまみのメニューはこんな感じ。渋谷区中枢のお膝元という立地を考えるまでもなく、良心的な値段と言えそうです。

 

メニューに「さつま」「かごしま」という文字が踊っていることから分かるように、ここは鹿児島料理のお店なんです。なんで渋谷で鹿児島?と思いますが、渋谷区と鹿児島市は協定を結んでるそうです。

去年、大河ドラマで『西郷どん』をやってたし、NHKも近いので、時流に遅れてやってきた便乗出店と勝手ながら思ってました。ごめんなさい。

 

渋谷と鹿児島の縁は、源平合戦のころからあったようで、とにかく歴史のくんずほぐれつがすげえのなんの。んだもしたん(鹿児島弁で「全然知らんかった」の意味らしい)。

 

写真はありませんが、とりあえず「黒王の爽やかポン酢」ってやつを頼みました。黒王と言ってもラオウは関係なく、馬でもありません。地鶏の皮が出てきました。「爽やか」とは違う気がしましたが、さっぱりしてて、おいしかったですよ。

 

黒ポンの次は、とり天を注文。

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ナスとサツマイモもついてくるドリーム天。サツマイモが旨すぎて舌が抜け落ちる勢いでした。写真ではとり天たちの下に隠れてて見えませんが、すんげえ分厚いんです。口に含むと、イモのねっとり感が襲ってきて、めっちゃ甘い。さすが本場・薩摩のサツマイモだなって感服しました。

 

とり天は、噛んだらやわらかくて美味しいと思ったのもつかの間、中心が冷たくてビックリしました。噛み切ったところを見たら赤身が残ってて、超レア―なの。鹿児島では鳥刺しがメジャーらしいんで、こういうもんなんでしょうか。もっと火が通っててもいいと思いました。鶏肉なので。とはいえ、総じておいしい天ぷらでしたよ。

 

最後に〆として、冷たいおそばを頂きました。

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デフォルトで海苔がかけられてる、のど越しハードタイプです。花巻そばのように温かいおそばの海苔は好きなんですが、冷たいおそばの刻み海苔は微妙だったりします。

 

わたしのいる間も他に客が来ませんでしたし、来る気配も皆無でした。このままだと夜の営業が短命に終わるかもしれません。行きたい人は、早めに行っときましょう。

 

ぐるなびの記事に納得いかない話。

そばを食べたついでの余談です。

わたしは富士そばも愛する無手勝流のそば食いなので、そばに対して一家言あるってほどでもないんですが、ぐるなびの記事を読んだらモヤモヤしたっていう話です。

すごく素敵でおもしろく、それでいて深く考えさせられる良記事なんですが、初めてそばを食べた方が、

これ、こんなに固くていいんでしょうか? なんというか、麺に芯が残っているように思えます。

と仰います。するとライターさんが、

これはせいろそばの標準的な固さですね。これよりもやわらかかったら『のびている』ってクレームが来ます

と応えるんです。

 

わたし、そのお店のおそばを食べたことないので、当然正確なことは分かりませんが、初そばの人が「芯が残っている」と言ってるぐらいなので、実際に硬いんだろうと思います。

 

でも、そばって、のど越しを楽しむって言われるぐらいなんで、あんま硬いのはいいことではないはずですし、硬いそばを戒める格言が実はあります。

蕎麦は半煮えはよろしくない=「煮え前は恥、蕎麦の煮え過ぎは恥じゃない」と言う古来からの格言

蕎麦はよく煮なくてはいけない物なのです、半煮えで芯が残り、周りも芯も硬い蕎麦になる事を避ける為に、しっかり茹で、その上でしっかり洗う事が、おいしいお蕎麦作りの大切な行程となります。

更科布屋 :: 2013年10月 第118話 江戸蕎麦の流儀その3

 

とにかく「煮え前は恥」です。その上でライターさんのご意見をもう一度見てみましょう。

これはせいろそばの標準的な固さですね。これよりもやわらかかったら『のびている』ってクレームが来ます

硬いのは「標準的」とは言えないし、「のびている」なんて「クレーム」出す客がいたら、まじめに茹でてるそば屋さんに対して失礼ってもんですよ。そんな無礼で無粋なクレーム出すヤツの眼鏡は石うすで粉々に挽いてふりかけとして販売する価値もないのです。

 

と、穏やかな調子でやんわりと述べてみましたが、そばポリスメンを気取るつもりもないですし、食べ物の好みは千差万別なので、硬いそば大いに結構と思っております。わたしもゴリゴリに硬い田舎そば、大好きです。

 

わたしがここで問題としたいのは、初めてそばを食べた人が鋭くも真っ当な感想を述べたのに対し、そばについて指南する側の人がトチ狂った情報を吹き込んでるということです。

 

この局面で言うべきことは、「やわらかいおそばもありますよ。老舗にも足を運んで、更科などいろいろ食べてみてください」だったろうにと思います。

 

ぐるなびのような影響力の強いサイトで、妙な決めつけが通ってしまったのは正直残念でなりません。豚骨ラーメンのハリガネ原理主義者じゃあるまいし、そばは硬ければいいってもんじゃないのです。

 

自戒も含めて、思い込みや決めつけ、排便の後にお尻をゴシゴシ拭きすぎるのは気をつけようと思いました。健康診断で便に血が混じっている指摘を受けて再検査するも異常なし、そんな喜劇を毎年繰り返して、とうに人生が厭になっております。今年こそ無用な血便疑惑は粉砕したいし、「ぐるなび」は「げりなび」に改名です。