恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

印象派といえばマネ、象印派といえば土居まさる。

印象派という言葉は知っているけど、具体的にどのへんの画家を指すのか、どういう絵を示すのか、ほとんど知らんほどに芸術音痴。
なので、ずいぶん前になるけど、吉川節子印象派の誕生―マネとモネ』という本を読んでみた。
すこぶるおもしろかった。
この本によると、印象派の画家の絵には3つのイコンが何気なく描かれているものがあったりするという。その3つとは「日本」と「西洋の伝統」、そしてそれらを統合した「新しい芸術」。その3つのイコンをキャンバスに収めているということは、新しい絵画を描いていこうという印象派の決意表明なのだ!とか書いてあったりして、おぉこれぞ絵解きの醍醐味だとか思ったり。
また、マネの描いた「鉄道」や「バルコニー」、「フォリ=ベルジェールの酒場」を丁寧に読み解いてくれたりもする。特に興趣をそそられたのが、「バルコニー」をモチーフにしてマグリットが描いた「マネのバルコニー」を通して、マネの企みを逆照射して解説するところ。

左がマネ「バルコニー」、右がマグリット「マネのバルコニー」。
マグリットが人間たちを棺桶にした意味を探ることで、マネの人間に対する鋭い批評精神を、本書の作者はあぶり出す。ここ必読。
あと、モネは同じ題材のものを何作も描いたりするけど、それは二次元という絵画の中で時間を表現しようとする試みなのだ!とか。
いろいろと丁寧に解説してくれるので、すっごく印象派に興味が湧いてくる。印象派っておもしろいな。
ところで、この本の中には絵がふんだんに収録されてる。でもやっぱそれだけじゃ物足りないので、せっせとインターネットを使いながら出てくる絵を鑑賞したりしました。やっぱ便利だぜインターネット! 電子書籍であれば、そんな参照も簡単にすぐどんどんできちゃうんだろうなぁ。電子書籍、応援してます。
ともあれ、印象派に俄然興味しんしんなので、今日はオルセー美術館展2010「ポスト印象派」に行ったりもした。でもそれはまた別の話。