恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

勝手にニューシブヤ系と呼んでる「コレサワ」のライブに行ってきた。


2015年の夏、テレビ東京の深夜にやってた番組『廃墟の休日』。画面に映し出される廃墟の美しさに目を奪われる毎週でしたが、それ以上に耳を奪われたのがエンディングで流れていた曲でした。ドローン撮影で遠ざかっていく廃墟のバックに流れるわずか一分の曲。とっても心にフィットする歌詞と、すっごく鼓動にマッチする楽曲が素敵だったので、クレジットを確認すると、曲名は「シュシュ」。歌手の名前は「コレサワ」。

コレサワ「シュシュ」【Music Video】(Short version)
ぜんぜん聞いたことがない名前なのでググれば、へんてこなクマ娘が出てくる PV の曲が 色々 Youtube に上がってて、それらを聴いてますます気になりました。こういう JPOP らしい JPOP 、歌謡曲らしい歌謡曲は、ひさしぶりな感じで、新鮮でした。
ハードロックやパンクを主に聴いてる私が行くライブといえば、洋楽だと Guns N' Roses や Motley Crue や Weezer 、そして今は亡き No Use For A Name 、日本だとマキシマム ザ ホルモンですが、聴くだけだったらジュディマリBennie K椎名林檎新垣結衣などの JPOP も大好き。そんな耳にコレサワの曲はおもいっきりなじみんぐ。

そんなこんなでコレサワのことを気にしていたのがおととし。去年は生活がバタバタしてたせいで完全に忘れてたけど、今年の春先にふとコレサワのことを思い出して、ひさしぶりに調べたらメジャーデビューが決まったとか書いてあって、しかも事務所がサブちゃん擁する日本クラウン。演歌に転身したのかな?と盛大な勘違いをしつつ、ひさびさに聴いてみたら、相変わらず中毒性が高いド直球の JPOP 。そしてメジャーデビュー記念のワンマンライブをやるんだとか。邦楽のライブでまともに行ったのはホルモンと嵐ぐらいだけど、ライブ会場がなじみ深い渋谷っていうことも後押しになり、思い切って行ったのが2017年6月1日。3枚のミニアルバムが出てるので(自主制作盤は未聴)、あらん限りの気持ちで予習して臨みました。

以下は、当日のセトリ順に従って楽曲の感想。

★01. わんちゃん
曲名からしてキュートさ100億点満点。しかし軽快なメロディと陽気な歌詞にだまされてはいけない。途中でいきなり華厳の滝の落下レベルで不幸の滝壺へたたき落とされる恐怖の曲。やわらかい言葉でつづられている歌詞の中に、いきなり出てくる「許可」という言葉。曲の雰囲気に似つかわしくない、この「許可」という堅苦しい言葉が地獄へのワンウェイ切符。この曲の歌詞の中で、「許可」は唯一の熟語。たったひとつだけ出てくる熟語の使い方がとっても効果的な、しつこいほどの情念たっぷり恋愛ホラーセンス極まりない名曲。

★02. トーキョー


コレサワ「トーキョー」【LIVE】@「コレサワワンマンショー コレシアター03」

ツヨシ・ナガブチの時代より、幾多もの歌手が連綿と歌い継いできた東京へのアンビヴァレンツなきもち。そんな首都への愛憎が乱れまくる定番の感覚をバージョンアップさせた曲。ライブでは、聴き手が合いの手を入れられる曲なので、歌詞を覚えとくといいです。

★03. シティーガー
私がいちばん好きな曲。歌詞に「渋谷」という具体的な地名が出てくる。曲名からして都会な感じで攻めてくるかと思いきや、単なる酔っぱらいの曲です。アル中まっしぐら酔いどれ天国な歌詞が、我が身をつらぬいて泣けてきて、ますます酒量が増えること請け合い。お酒を飲むと世界が劇的に変わる気がするけど、それは錯覚なので絶対に勘違いしちゃいけない。お酒のアテにどうぞ。

★04. バックアップ


コレサワ「バックアップ」【Music Video】

投げやりに暴投気味な歌詞が、心に刺さりまくる不思議な曲。ヘミングウェイが「旅をしても自分からは逃げられない」、ゲーテが「旅をしても自分の持っているものしか持ち帰れない」と言っていたようなことを、うろ覚えで記憶してるけど、そんな偉人のおっさんたちと同じようなことを歌ってるっぽい。

★05. 君のバンド


コレサワ「君のバンド」【Music Video】

星の数ほどある園子温の映画の中で、『冷たい熱帯魚』でも『地獄でなぜ悪い』でも『愛のむきだし』を挙げるでもなく、『恋の罪』が好きと高らかに宣言する曲。映画の舞台が渋谷だからかな。

★06. お姉ちゃんにだけ部屋があったことまだ恨んでるのかな
愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけないバリに、えらい長い曲名そのまんまを雑にグイグイ連呼してくる曲。弟のものを川に投げたりしてて、ブラハラというかシスハラというべきか、とにかく弟からしたら暴れん坊シスター。あまりにも個人的な激白を聴かされたこっちはどんな顔すればいいのか困りました。

★07. シンデレラ
バンドメンバーのソロプレイが聴ける曲。歌詞の内容は完全にセックスです。エロスごちそうさまでした。

★08. 悪いユメ
会場のノリも含めて、なかなか重苦しい曲。後から振り返ってみると、今回のライブの真ん中でこの曲を演ったのは構成の妙のように思いました。

★09. 最終電車
切なさが爆発するけど終わりに希望を開発しようとする曲。終電という、どうしようもないやるせなさを、最後の最後に無効化する最終兵器がキキーッと登場。ハッピーエンドだといいですね。

★10. 洗濯物
コレサワがライブの MC のときタオルで汗をふきふき、「このタオルも売ってるんだなあ、汚れたら洗濯しなきゃ」などと、大阪商人らしくグッズの営業トークを繰り出しつつ歌い出した曲。いつものなんでもない日常の家事から哀しみがにじんで広がる曲。ありふれた風景に悲痛の種が落ちていて、ついつい拾っちゃうしんどさ。ルーティンワークの貴さは、いつだって後になってから身にしみてきます。

★11. たばこ


コレサワ「たばこ」【Music Video】

私があんま好きじゃなかった曲。生で実際に聴いたらとっても好きになれた。会場からすすり泣きの音がチラホラ。

★12. 右耳のピアス
ウソじゃね?って思う曲。なくしたんじゃなくて、わざと置いてったんじゃね?って。好きな人とそのパートナーを絶対に殺すメソッド。これはとてつもなく危険なテロですよ。

★13. 女子諸君
全速力で男が置いてけぼりにされる曲。リアルにナマナマしいこと言われると女性に幻想を抱いてる男は耳をふさぎたくなりますよ。

★14. これから
これから発売されるメジャーデビューアルバム「コレカラー」のトリを飾る曲。

★15. あたしを彼女にしたいなら


コレサワ「あたしを彼女にしたいなら」【Music Video】

PV で大々的に渋谷をフィーチャーしてる曲。コレサワの主戦場である WWW やスターラウンジが出てきます。

★16. SSW


コレサワ「SSW」【MUSIC VIDEO】

「シンガーソングライター」と読む。メジャーデビューアルバム「コレカラー」の巣立ちを飾る曲。今までの PV を楽しんできた身としては、彼氏の犬くんが元カレになっててビックリ。しかも最後は衝撃的に悲しい結末。ただ、戦隊のイエローが食いしん坊なのにはニッコリ。ライブの MC で「メジャーデビューしたらあの人は変わったとかあるけど、私はそんなことないから!」みたいなこと言ってたけど、この PV を見たら過去との決別感あふれててドキッとします。自己紹介というか挑戦状ともいうべき決意表明の歌で今回のワンマンライブは終わりました。

私が好きになったキッカケの「シュシュ」や、クライマックスに向けてアゲアゲしていく「笑えよ乙女」は演らなかったけど、しみじみとたまらなく良いライブでした。ライブ後のサイン会にも思わず参加しました。すこぶる成功して欲しいです。今年の12月にやる渋谷のツーデイズもすぐに申し込みました。チケットちゃんとゲットしました。


コレサワ「笑えよ乙女」【Music Video】

今回行ったライブ会場は、渋谷のスターラウンジというところで、私はベース側の左にいたんですが、ベースがベンベン、ギターもビンビン響いてて、音盤を聴いだけじゃ分からない音圧で、バンドサウンドが熱かったです。

コレサワの PV には、渋谷の風景が死ねるほど出てきて、歌詞にも渋谷が出てきます。コレサワが東京でワンマンライブをやる会場は渋谷ばっかり*1コレサワがはじめて東京で演奏したのは SHIBUYA-AX だそうですし、みんなが大好き渋谷をコレサワも大事に思ってくれてるような気がして、とても親近感がわきます。なので、勝手にニューシブヤ系と呼んでみました。もちろんコレサワ自体は、特定の地域に特化したいわけでもないでしょうから、渋谷とか関係なしにこれからも絶対に応援していきたい。コレサワは、オリコンにランクインするのと武道館でやるのが夢だそうです。私は、ぜひ紅白で見てみたいです。

コレサワは、風水にこってるらしく、ライブの MC で「顔のあるものを玄関に置いてはいけない」と言っていました。ライブ後に帰ってから、うちの玄関を確認したら、顔のあるものが10点ありました。そのうちひとつは天狗の顔が2つ書かれたお守りでした。よって、我が家は十一面観音に守られています。

ライブへいっしょに行った妻が「コレちゃんのファンにも呼び名があればいいのに」と言ってました。ホルモンだと腹ペコ、ももクロはモノノフ、 LUNA SEA はスレイヴみたいなやつ。ちなみに Guns N' Roses のファンはガナーというらしいです。25年間ファンやってて今年初めて知りました。コレサワのファンだと、うーん、コレクター?

*1:男子限定ライブは下北沢だったみたいだけど