恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

アラーキー目的で行ったけど森洋史の展示物のアウラに目が焼かれた。

新宿区と渋谷区がせめぎ合う場所、東京オペラシティでやっている、荒木経惟の展覧会『写狂老人A』に行ってきました。


入場してすぐ、熟女のヌード写真がドーンと陳列されてて眼福を極めつつ、物量で勝負の写真群を堪能しました。

それはそれとして、アラーキーのチケットでそのまま鑑賞できる、オペラシティ収蔵品展と森洋史の絵画にとっても心奪われてしまい、アラーキーの写真への記憶がだいぶ彼方に吹っ飛んでいきました。

収蔵品展『静かなひとびと』では、茫漠に漂う小品のミロスラフ・ムッシャ、マグリット的な茫洋感ある河原朝生、キリコやエドワード・ホッパーを彷彿とさせる寄る辺なさの小杉小二郎、これらの絵がとても印象的でした。名前も存在も知らなかったけど、自分好みの絵ってのは、やっぱりまだまだ世の中にたくさんあるもんです。


収蔵品展のあとは森洋史の展覧会。事前にこの人の絵が展示されてるのは知ってたので、ネットでどんな絵を描いてるのか予習してました。ふむふむ、名画を下地にしてアニメ絵キャラを配置するパロディ画だな、イマドキの感じだね、フェルメールリキテンスタイン伊藤若冲か、なるほどねえ、そんな知ったか顔で余裕ぶっこいたまま、いざ実物を鑑賞したら、アウラが爆発しすぎてて目ん玉ぶっ飛んだ。


ネット上に転がってる画像や上に貼った画像を見ただけで判断しちゃいけません。実際の本物は神々しさを超えていくギッラギラとピッカピカ。すげえんだよマジで。あえて例えるのであれば、なんでしょう、ドン・キホーテセルバンテスの小説じゃなくて、驚安の殿堂でおなじみのディスカウントストア。あそこのブランド品やパーティーグッズの売り場を想像してもらえますか。ワクワクとデカダンスがシェアハウスで同棲して夜な夜な踊り狂っちまったヤンキーファビュラス。実際に実物を鑑賞した者にしか伝わらないキッチュ・アンド・キッチュ。そんなデカダンキホーテな絵画の数々は、森洋史と同じファミコン世代な人たちのGスポットをくすぐること間違いありません。そのへんの世代の人も、そうでない人たちも、今すぐ見に行ってくださいね。めっちゃ欲しい、狭いばかりで侘びしい我が家だけど飾ってみたいと、心の底から惚れちゃいました。


いかんせんオペラシティは場所が不便なのが困りもんですが、アラーキーを見ないのであれば、収蔵品展も含めたった 200 円で鑑賞できるので、会期中にもう一度行きたいもんです。