埼玉県立近代美術館で『インポッシブル・アーキテクチャー もうひとつの建築史』を鑑賞しました。
最終日(3/24)に行ったんですが、混雑がすごくて人のるつぼに呑み込まれました。展覧会はこのあと、新潟・広島・大阪を巡回するので、見たい人は早めに行くのがよいと思います。
展覧会では、アンビルトに終わった建築物の模型や図面だけでなく、映像もふんだんに用意されていて、おもしろかったです。妄想がはかどりまっせ。
展示が終わったところには来場者による「きみの考えるインポアーキ!」コーナーがありました。力作だらけで見ごたえたっぷり。
特にコメントはありません。
埼玉近美は楽しみいろいろ。
埼玉近美は美術館の内外にアートがいろいろあるので、展覧会だけ見て帰っちゃもったいないです。
受付のすぐ奥にあるコインロッカーには、宮島達男の作品がありました。
ぼーっと生きてると気づかないので、お見逃しなく。
館内にはいろんな椅子があって、無料で座り放題。ご丁寧に「今日座れる椅子」という掲示もありました。
午後から利用が可能になる椅子もあったりで、なんだかピンサロの出勤情報みたいですね。
椅子を撮影してたら唐突に暴漢がフレームイン。
このあと、椅子は大破しました。
大量のカラー洗濯ばさみがありました。
だから何?って、わたしに言われても困ります。あったんだから。
外の公園には、中銀カプセルタワービルの一室がポツンと置かれていました。
仲間たちとはぐれたせいでしょう、とっても寂しそうに見えましたよ。
ろくろを回しながらドヤ顔で ITmedia のインタビューに答えるスタートアップ企業の学ラン社長を模した銅像もありました。
ニュアンス伝わってます?
ランチは、美術館の中にあるレストラン・ペペロネで食べました。
桜鯛のリゾットを注文。
アヴァンギャルドな盛り付けで、毒々しい色合いですが、丁寧な味付けで、とっても美味しかったです。
なお、パスタとかを頼むと付け合わせでパンが付いてくるんですが、もんげー美味しくてビックリしました。焼いた玉ねぎがパンの耳に練り込んであって、香ばしいやら芳醇だわで口の中がお祭り騒ぎです。このパンはテイクアウトもやってて、近所の人らしきおっちゃんがパンだけ買って帰っていきました。こんなうまいパンが毎日頂けるなんて、近美の近所のおっちゃんうらやましすぎ。生まれ変わったら近美の近所のおっちゃんになりたい。
展覧会でちょっと不満だったとこ。
それぞれの展示物に解説文が添えられてるんですが、文字量が多くて、すっげえちっちゃいんです。
A4サイズも無いような大きさのボードに、解説がびっしり書かれているため、みんなが集中するし、文量も多いため読むのに時間がかかり、俺たち人間どもが狭いスペースに滞留しまくる。鑑賞がぜんぜんはかどらない。
普通の絵画の展覧会であれば、キャプションなんぞ読まないっていう楽しみかたもできるけど、これは建築物の展覧会なので、未完に終わった状況やバックグラウンドを知らないことには理解が進みません。
どうせなら過激派の立て看板かよってぐらい、大きくて目立つボードにドカーンと掲示しちゃえばいいのに。そしたら遠目でも読めるんだから。
この展覧会って、無念を残したまま死屍累々となりし建築物の怨念を鎮めるお祭り(祀り)なんだから、小ぎれいでスタイリッシュに澄ました装いじゃなくて、ドーンドーンドーンとにぎにぎしく猥雑にぶち上げちゃうほうがよかったのになって思いました。
展覧会の白眉であるザハ・ハディドの新国立競技場案のブースでは、この恨みハラデイ!な檄文を掲げてたので、その恨み節たっぷりなノリの勢いでドッカンドッカン威勢よく展示してほしかったです。
具体的にいえば、この展覧会にも作品が出てる会田誠が過去にやった、都市計画の個展みたいな感じに垂れ幕を出しちゃうとか、そういう見せ方のほうがグッと来るのになってことです。
なお、ザハ案に関しては、展示されてたやつじゃなくて、いちばん最初のデザイン(2つの触覚が長く突き出たセクシーハマグリ姫みたいなやつ)がどえらく格好よくて最高でしたよね。下の2枚を参照のこと。
しかし、今回展示されてたのは、予算超過が判明してからスケールダウンさせた、妥協的修正案のやつにすぎないので、あれは建てなくてよかったと個人的には思ってます。なので、わたしとしては別に残念無念ではないのです。