桜花の候ということで、ダミアン・ハーストの桜を国立新美術館で花見(鑑賞)。金曜日の18時半過ぎに入りましたが空いてました。
ダミアン・ハーストは、サメやウシなど動物の死体をホルマリン漬けにした作品で有名なアーティストです。
最近では、不正にコロナ支援金を得ていた疑惑があるなど、作品のみならず一挙手一投足が騒動になる人ですね。
そんなダミアンですが、日本で彼の作品をお目にかかれる機会はあまりありません。
しかし今回、日本で初の大規模個展が開かれたので行ったところ、自然の偉大さを知ることができました。
すばらしい気付きを得られる展覧会です。
ジャクソン・ポロックのようなアクション・ペインティングで描かれたサクラの絵が、百花繚乱に咲き乱れる展示風景。
間近で見ると、絵の具の固まりが群れをなし、点描画になってるのがよくわかります。
公式サイトでも見られるインタビュー動画で、ピエール・ボナールやジョルジュ・スーラへの言及があり、なるほどと頷けるタッチです。
「この桜より大きな愛はない」という絵。
この展覧会の白眉、縦は5メートル超、横は7メートル超の大作です。
展覧会の率直な感想として、壮大な失敗として受け止めればおもしろいっちゃおもしろいと言える感じ。
観客に没入感を与えたい、身体的な反応を催させたいとダミアンはインタビュー動画で狙いを語っているけど、失敗してるように思う。
その狙いを現代で果たしたいのであれば、チームラボのやり方のほうがよっぽど理に適ってるのではないでしょうか。
ダミアンさんは、ボナール、ポロック、マーク・ロスコやフランシス・ベーコンからの影響も語っているけれども、それらの作家の到達点から後退してるようにも思えます。現代アートの袋小路に迷い込んでいる印象を受けました。
国立新美術館を後にして、六本木駅へと向かう沿道に桜が咲いてました。
本物の桜に触れると、さっき見た絵の記憶がどんどん色あせてく。
家の近所の公園で夜の桜。
満開の桜。
咲きほこる桜。
路傍に散る桜。
アートの散らないサクラより、ネイチャーの散る桜のほうが美しい。
そんな当たり前のことを実感できる展覧会でした。
ダミアン・ハースト 桜
国立新美術館
2022年3月2日~5月23日
10:00~18:00(金土は20時まで)
東京都港区六本木7-22-2