恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

「M-1グランプリ2020」ふっつうの雑感

熱心なお笑いファンではないけど、なぜかM-1グランプリは2001年の第1回から欠かさず見てます。テレビにガッツリ張り付いてるわけでもなく、いまいちなネタのときは流し見しちゃうような鑑賞スタイル。1年を通してネタ番組もほとんど見ないので、M-1で初めて知るコンビがほとんど。私みたいな人も多いのではないでしょうか。

 

笑い飯が優勝したあと5年の休止期間を経て再開してからはいまいちだったんだけど、霜降り明星が優勝した2年前からは改めてハマれるようになりました。

 

むかしは本当につまらない漫才も混ざってて玉石混交が激しかったけど、近年は高品質の漫才がほとんどだと思う。確実に漫才界のレベルは底上げされている。ドングリならぬ鶴の背比べになってて、血で血を洗うレッドオーシャンに突入しているので、漫才師は大変でしょう。

 

ともあれ、一般的なお笑い好きの人間によるふっつうなM-1勝戦の感想です。

 

◆ファーストラウンド

1:インディアンス

うざいほどにボケまくる手数の多い漫才。2008年の王者NON STYLEもそうなんだけど、ガチャガチャしてるので好みではないスタイル。サザエさんのネタを入れるのは、古いセンスって思っちゃう。ツッコミが見た目に比して実は昔ワルだったんです、と言ってくるのも、古臭いギャップを狙ったツカミなので乗れない。好みではないだけで、つまらなくもないんだけど、やっぱ乗れない。

審査員による結果は7位。

 

2:東京ホテイソン

近年よく見かける、印象的なツッコミがボケも兼ねちゃって全部持ってくタイプ。こういうコンビ見るたんびに、ボケの人いる?って思っちゃう。ダイアンなんかも津田のキャラが強すぎてボケの印象が年々弱まっていく。そもそもダイアンのボケの名前も知らないし。ともかく、ホテイソンもつまらなくはないんだけど、コンビとしてはバランス悪いので冷めて見ちゃう。

審査員の結果は、最低の10位。

 

3:ニューヨーク

去年の歌ネタがクッソひどかったのでつまらないコンビだと勝手に決めつけてたんだけど、今年のはよかった。タブーな話題を瞬発的なおもしろさに昇華できるのは、お笑いの特権であり強味。道化たる芸人の正しい在り方を見せられた感じ。もっと攻めても良いのにと思ったけど、ゴールデンのテレビでやるならこれぐらいが限界なのかな。

「犬のうんこ」のボケは、予選で「チョウチョ殺した」だったけど客がドン引きしたので「うんこ」に変えた、と反省会で言ってた。殺蝶Ver.も気になる。

暫定1位になるも結果は5位。

 

4:見取り図

それぞれのキャラと漫才の型がしっかり出来上がっていて安心して笑える漫才。現在の時流にも合って、ツッコミのほうが器用で強キャラ。欲を言えばもっとボケがイカれポンチ具合だと、コンビのバランスが合うのでは。マネージャーという存在をネタにするチョイスは良いと思う。おもしろかった。

暫定1位になるも3位で、最終決戦へ進出。

 

5:おいでやすこが

歌ネタが好みではないので基本認めたくない。歌ネタって安直で卑怯よね。ただ、ふつうの歌ネタって替え歌レベルに留まることが多いんだけど、このコンビの場合、出だしだけ有名で後は完全オリジナルソングになるので、正直おもしろかった。ツッコミがだんだんイジリー岡田に見えてきて、それもツボ。とはいえ最高得点で1位にするほどですか?

1位で最終決戦へ。

 
6:マヂカルラブリー

ふつうの話を無茶に広げる感じ、すっごく好みなんだけど、かなり荒けずり。反省会では、フレンチと吊り革のネタ、どっちを先にやるか直前まで決めてなかったと言ってた。おいでやすこがのネタを見ててもまだ決めず、CMに入って場がフラットになったところで、ボケのクリスタル野田が「俺はフレンチで行く」と決めたらしい。直前まで教えてもらえなかったツッコミの村上がかわいそう。とてもヒリヒリするエピソードでほっこりしますね。

暫定1位の結果2位で最終決戦へ。

 

最終決戦の3組は、中盤の4番手から6番手に固まってたんですね。

 

7:オズワルド

ボソボソしたローテンションの低いトーンでやる漫才。おぎやはぎPOISON GIRL BANDなど、この手のコンビはM-1で鬼門なんだけど、4位で健闘。

審査員の巨人と松本で意見が真逆だったけど、どっちも正しいこと言ってるように思えた。ある人からはうるさく聞こえ、別の人からは小さくということなので、要するに丁度よい位置取りが見せ切れてないってことだろうと思う。

個人的に気になったのは、ツッコミの伊藤がほとんど横を見ながら漫才してたこと。ツッコミの表情がよく見えないのが、評価のしづらさを生んだのではないか。

 

8:アキナ

品川庄司っぽいルックスの人たち。ノリが古くて乗れなかった。前評判が高いコンビだったらしいんだけど、結果8位。でも、点が低かった後の「恥ずかしい!」のぶっちゃけトークのほうがおもしろかった。ネタより平場のほうが強い人たちだ。

 

9:錦鯉

見ていて幸せしかなかった。おじさんが頑張っている姿って素敵よね。会場でウケてるように見えたので意外といくか?と思ったけど、結果4位。でもこの人たちが見取り図より上にいくのもどうなのって感じだし、最終3組以外ではトップなのだから、めっちゃ美味しいと思う。歯が8本しかないのが災いして、渾身のボケの「レーズンパン」が聞き取りづらかったのが敗因か。

 

10:ウエストランド

今回の中ではいちばん正統派に近い漫才か。ただ、ネガティブパワーで引っ張るネタは今の時代的にもういっかな。やるんならもっと突き抜けてサイコパスレベルまで堕ちるといいかも。 結果8位。

 

おいでやすこがの1位通過には首をかしげるけど、改めて眺めると順当な3組が選ばれたと思う。

 

◆最終決戦

1:見取り図

あとの2組を考えると、とってもまじめな漫才でした。巨人と塙が投票したのは当然すぎる判断。今回は、まじめな漫才の人は損する大会だったことが最大の敗因。見取り図は悪くなかった。

心配なのは、漫才がうますぎること。伏線があって上手に回収して、ネタをきっちり作り込んでて和牛っぽさある。うますぎる漫才は鼻につくので、和牛みたいに今後も優勝できないのでは。もっとあそびが欲しい。

 

2:マヂカルラブリー

ふっつうに考えたら見取り図が優勝であるべきなんだけど、このネタがおもしろすぎるし好きすぎて、優勝して欲しいと心底願った。ボケがほっとんどしゃべらない漫才の優勝が見たかったので満足。ただ、固有名詞のチョイスはどうなんだろ。オチの「御茶ノ水」「中央線」って東京ローカルよね。東京圏以外の人はピンとくるのか。

ボケのクリスタル野田ばかりがフィーチャーされやすいけど、ツッコミの村上も素晴らしい。声の感じとかルックスとか雰囲気とか、ふざけすぎたネタだからこそ、このツッコミがベスト。野田のぶっ飛び感で目立ってないけど、反省会では村上がしっかり喋ってたし、村上がコンビの守護神なのでは。

 

3:おいでやすこが

何度も言うけど、歌ネタは飛び道具なので個人的に不可。ずっっっと歌ってるのがすごいし、つまらなくはなかったけど、優勝じゃなくてよかった。

 

この結果で良いのかとは思いつつも、マヂカルラブリーが優勝で満足な大会でした。

 

最後に、近年の敗者復活に関しては不満。2015年の再開後から視聴者投票方式になったんだけど、これだとネームバリューの強い人間が選ばれやすいように思う。ぺこぱのネタはかなり弱かったのに、上位3組に選ばれたのは人気投票の結果ゆえは否めない。

個人的な本当の優勝は、敗者復活戦で最低票だったランジャタイ。

もちろん視聴者投票じゃなければランジャタイが選ばれたとは1兆パーも思わないんだけど、ランジャタイは10年、国民に早かった。10年後なら時代が追いついてぶっちぎり優勝なのに、そのころには出場資格がないので残念です。 

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