恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

性的な映画2本立て。

一本勃ちじゃなくて二本連続で映画を観た。テアトル新宿で。
まずは若松孝二の「キャタピラー」。

劇中で寺島しのぶが吐くセリフにもあるけど、「食べて寝て食べて寝て」がひたすら繰り返される。芋虫が騎乗位、騎乗位、正常位、騎乗位。
開巻、レイプされた女の空虚な目玉が日の丸にオーバーラップ。意地が悪い。
また、勲章や大本営発表の新聞記事、そして天皇皇后両陛下の写真を眺める芋虫の目玉も、レイプされた女と同様にして空疎。これまた意地が悪い。
絶えることのない蛙の鳴き声と、繰り返される機織りの映像が印象的だった。
つづいてAVの企画女優を題材にした「名前のない女たち」。

キャタピラー」では寺島しのぶがガンガン裸になるけど、AVが主題のこっちの映画では女優たちが全然脱がない。こめかみがピクピクしすぎたころ、おっぱいがやっと出てきたので一安心。さらにおまんこも出てきた。遠めだったけどおまんこ映ってたはず。ナイス。
終盤、井口昇の映画を思わせるような血飛沫シーンあり。電マならぬ電キュ(電動キュウリ)を死に際の男が口でくわえそうになったり、女が好きな男を守ろうとして金属バットを手に構えて「逃げな!」と大映ドラマも顔負けな啖呵を切ったり、「誰も守ってくれない」と同じでインターネットの向こう側にいる人を悪意たっぷりのステレオタイプで戯画化したりと、おちゃめな演出たっぷり。
原作となった中村淳彦『名前のない女たち』シリーズは、著者がAV女優たちの人生を淡々と傾聴するところが素晴らしかったけど、映画では説教と道徳のスメルがたっぷりで啓蒙的。
あとこれだけはちゃんと苦言を呈したいけど、AVの現場の描き方が雑すぎ。AV業界を批判的に描くのは勝手にしてくれていいけど、批判するならきちんと描写をして欲しいな。
暗渠である渋谷川の風景から映画が始まったのには興奮した。

その後も時おり映し出される渋谷川はとても綺麗で、企画女優という存在に暗渠を照応させたのはとても美しいアイデアだと思う。あと、AVプロダクション社長役の鳥肌実の演技が絶妙でよかった。