恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

ぐるぐる回る映画の、ぐるぐる回らない地球儀。

地球がぐるぐる回る。体内で螺旋がぐるぐる巻いてる。フィルムがぐるぐる回る。トラックでローラースケートがぐるぐる回ってる。
というわけで、ドリュー・バリモアが監督した「ローラーガールズ・ダイアリー」を観た。目黒シネマで。

主役のブリス(エレン・ペイジ)が親に嘘をついて向かう先は、ローラーゲームの試合会場。友だちの運転する車中でノリノリのブリス。なんだか人生が楽しくなりそう! 流れている曲は Ramones の「Sheena Is A Punk Rocker」。ナイスパンク。
決められたトラックの中を、ひたすらぐるぐる回るローラーゲーム。この映画の原題は「Whip It」。「Whip It」とはチームメイトの助けを借りてローラーの勢いを加速させること。仲間の手を握り、思いっきり振ってもらい、速度が上がる。そしてまたぐるぐる回る。
テキサスの片田舎で暮らすブリスは、ぐるぐる回るローラーゲームを始めたことで人生が変わっていく。試合後のパーティー、会場となっている家の二階へと上がり、おもむろにレコードを掛けるブリス。ぐるぐる回り出すレコード。そのレコードを切っ掛けにして、憧れていた男の子と会話ができる。恋が始まる予感。
または。アルバイト先のダイナー。 Dolly Parton の「Jolene」の流れる中、ブリスは友だちと踊り出す。くるくる回って踊る。すると。なんとあの男の子がダイナーの外にいるではないか。恋が動く予感。
ブリスはローラーゲームで頭角をメキメキと現す。回り出した人生と恋。すべてが順風満帆に回っている。しかし。ローラーゲームをやっていることが親にばれ、親と喧嘩し、家を飛び出す。年齢を詐称していることがライバルにばれ、試合に出ることも難しくなってくる。
そして。ブリスは学校の図書室へやってくる。備え付けのパソコンで彼氏のバンドのサイトを開く。見知らぬ女の子と写っている彼氏の写真を見つけてしまう。しかも。その女の子が着ているTシャツは、ブリスが彼氏にプレゼントしたもの。
このとき。その前に映し出されていた図書室の風景がふいに思い出される。画面の奥をエレン・ペイジが歩いていた。そして手前の机には地球儀が置いてあった。たくさんの地球儀が。どれひとつとして回っていない地球儀が。やっと知るのだ。あの地球儀たちが映された理由を。そう、恋が終わる予感だったんだ。
回ったり回らなかったり。動きの美しい映画でした。
ところで。この映画では水中でなびく髪が出てくる。そして水中のキスも。*1とてもいい。
ところで。「デス・プルーフ」で見事な車上アクションを見せてくれたゾーイ・ベルが、ブリスのチームメイト役で出演している。相変わらずかっこいい。