恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

砂肝を使え!

ザック・デ・ラ・ロッチャやザック・ワイルド、そしてザック・スナイダーなどなど、ザックの名を持つ人たちは素敵な奴らばっかりだぜ! そういえばサッカー日本代表の監督の愛称もザックというらしい。アルゼンチン撃破、おめでとうございます。
というわけで映画のほうのザックによる「ガフールの伝説」を観ました。109シネマズ川崎はIMAX 3Dの吹き替えで。

90分間、これでもかとフクロウの顔がドアップになる映像の連続。おかげさまでフクロウたちのキャラクターを取り違えることはない。
ザック・スナイダーといえば、歌舞伎の見得切りの感興を湧かせるようなスローな画が得意中の得意ですが、本作でもバシバシ決まる。しかしやはりフクロウの顔面の画がとにかく多い。ちょっと多すぎるのでは。毛並みの表現がすごいのは十分わかったよ。
物語的には特にひねりもない王道すぎる冒険活劇なため、「トイ・ストーリー3」や「ヒックとドラゴン」を通過してきた身にはかなり物足りない。しかし、本作はまだまだ序章のようなものらしいので、今後に期待できるかも。
ところで。美術監督グラント・フレッケルトンが「ガフールの伝説」におけるキャラクターの描写について興味深いことを言ってる。

「悪役の純血団の目の動きは、ずっと動物っぽく、より恐ろしげにし、ソーレンたち善玉の目はちょっとだけ人間っぽくして、よく動き、感情を出すことによって、悪役に比べると、観客がより感情移入をしやすくした」

善悪の描き分けを計算尽くでやってのけるのがまさしくアメリカ映画。だからアメリカは最強なのだ。映画に限らずアメリカが発するすべてのメッセージを、われわれは常に自覚的に受け取らなければなりません。
悪役である純血団のナイラはメスのメンフクロウで、ひたいにYの形をした赤い模様がある以外は全身が白い。真っ白なルックが「純血団」という言葉を凛々しく叫ぶ姿はゾクゾクするほどに凶々しくも美しい。ナイラの声を日本語版で吹き替えているのは榊原良子パトレイバー南雲しのぶダブルゼータハマーン・カーン、そしてなんといってもナウシカクシャナで有名な声優さん。たまりません。

後ろの白いフクロウがクシャナ様ではなくナイラ様。あの声で悪事をささやき、そそのかすのだから、そりゃ悪の道にも堕ちたくなりますわな。吹き替え版、おすすめできます。
ちなみに。「さのう」という言葉が、フクロウの生活における重要なキーワードとして劇中で頻出する。「頭で考えず、さのうで飛べ!」などという感じで。吹き替えで聞いてると「左脳」を連想してしまうけど、漢字で書けば「砂嚢」。すなわち砂肝。鳥類の胃のことで、中に小石が入ってる。鳥には歯がないけど、飲み込んだ餌は「砂嚢」の小石によってすりつぶされ、それで消化がうながされる。だってさ。砂肝コリコリしてるよね。
主題歌のOwl City「To The Sky」がとてもよかったです。
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