恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

★追悼:野口竜★

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タイムラインがギャバンギャバンうるさいのでギャバンみてきました。映画の正式名称は「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」。

ゴーカイジャーは全然みたことがないし予備知識もまるでありません。なので、いろいろと驚きました。え、海賊なの……五人だと思ったら六人編成なの……歴代のスーパー戦隊シリーズに変身できちゃうの……とか。楽しかったです。

ギャバンに関してはやはり蒸着世代なこともあって胸が熱くなりました。
当時の記憶からすると、今回のギャバンはギンギラのギラギラが少し足りないように思いました。思い出が美化されてるだけとも思いますが。魔空空間の魔空っぷりもあまり魔空してなくて俺の知ってる魔空はこんなんじゃない感がありました。ゴーカイジャーが魔空空間に突入したら、なんだいつものあの採石場かよという別の既視感。変身のときのうんちくがしっかり再現されていたのはすごく良かったです。ゴーカイジャーの分までうんちくしちゃうという遊び心もうれしい限り。地球逆回転もいいですよね。
東映特撮の合成のまずさは相変わらずで安心しました。ただ、矢島合成的な暗雲もくもくがあったら、もっと良かったように思います。そういえば庵野秀明の「キューティーハニー」には矢島合成的な暗雲もくもくが出てきました。庵野の日本特撮に対するフェティシズムはホント徹底していてすごいなと感心しきりです。

あと東映といえばやはり大野剣友会でありJACが思い浮かぶところですが、東映に流れるアクションの血は今も健在でした。「ゴーカイジャーVSギャバン」においても、上に下に、縦に横にと激しく動き回る姿は圧巻で、このスタッフであれば日本のプロジェクトAを撮れるのではないか、そんな素敵な夢すら抱けるアクションの数々でした。がんばれ日本!

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大葉健二の濃い顔ときたら、当時から子どもが泣き出して不良に走り宇宙犯罪組織マクーに入団することで有名でしたが、年老いた大場の顔の濃さは深みがありすぎて、ギャバンと同じ宇宙刑事シリーズのシャイダーに出てくる大帝王クビライ以上にインパクトある、恐るべき顔でした。

レイトショーでみたということもあって、あまりお客さんが入っていませんでしたが、家族連れが一組いらっしゃいました。お父さんはエグザイルメンバーの成れの果てを想像させるような、いかついお父さん。お母さんはチャンプロードでグラビアを飾りそうな、キンパッツなお母さん。男の子のお子さんは、末は破壊か殺人かと思わせる剣呑な雰囲気ただよう、とっぽいお子さん。映画終了後に家族で交わされてた会話が印象的でした。
母「わたしたちの世代のテレビのキャラとかがいっぱい出てたのかな」
父「こういうの俺たちみてなかったから元ネタ全然わかんねえな」
子「ウキーウキー」
お子さんだけは楽しそうにされてたのでなによりでした。親子二代にわたって楽しめない場合もあるようですが、おもしろい映画だと思います。親子でぜひ。

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最後、エンドロールに魔空監獄のデザインとして野口竜の名前がありました。これが最後の仕事なのでしょうか。
野口竜がデザインしたデンジマンのベーダー一族やサンバルカンヘドリアン女王シャイダーの不思議獣たちは、あどけない子どもたちに恐怖という絶望とこの世の不条理を存分にたたき込んでくれました。
調べてみると大場健二が出ていたバトルフィーバーJデンジマン、ギャバンのすべてで、野口竜はデザインをされていたんですね。大場健二フィーチャーが騒がれている今回のギャバン映画ですが、野口竜もひっそりフィーチャーされている映画だったように思います。
ゴーカイジャーの怪人たちも薄らグロ系のデザインのものが多く、野口竜の系譜は脈々と引き継がれているのだと思うと、感動しつつデザインのグロさに泣きそうです。哀悼。