恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

杉本博司を浴びるほど満喫したくて江之浦測候所。【1】

U2のアルバムジャケットに『海景』が使われた写真家・杉本博司

No Line on the Horizon (Jewl)

No Line on the Horizon (Jewl)

 

その彼が手がけた文化施設 江之浦測候所へ行ってきたお話です。

 

ヒロシです

杉本博司(以下ヒロシという)なる人は、衒学趣味を隠そうともせず、スノッブ臭プンプンやる方ない展覧会をやりがちな作家です。そんなんだから、世間的に好き嫌いや毀誉褒貶が激しく分かれがち。でも、わたしは好きです。

2016年、東京都写真美術館の「ロスト・ヒューマン」展でも、古美術と廃棄物を並存させた、虚栄たっぷりなインスタレーションかましてました。杉本秘宝館とも揶揄されるあの展覧会では、会場の隅々からヒロシのドヤ顔が目に浮かぶようなありさまでしたよ。さぞかし多くの来場者が鼻白んでたことでしょう。

さっきから悪口めいたことしか書いてませんが、ヒロシのこと大好きなんです。マジなんよ。

 

直島に足繁く通っているのは、ヒロシの作品を大量摂取できるという理由も大きいんです。

 

杉本博司は分かりやすい。

ヒロシのやってることって、気取っていて小難しそうなきらいはあるんだけれど、実際はかなり分かりやすいように思います。 ぜんぶ計算尽くなので、本人の意図を超えてパッション大爆発ってことはまずあり得ない。なので、鑑賞者が丁寧に読み解けば、かならずや正解にたどり着ける作品がほとんどです。

苔のむすまで

苔のむすまで

 

映画監督で似ている人をあげると、押井守です。

押井の映画では、演出すべてに確実な意図があり、画面全部がコントロールされています。なぜここで鳥が登場するの? なぜ下水道が舞台なの? 押井に質問すれば、完璧な答えが返ってくることでしょう。キューブリックもそんな感じっぽい。これが宮崎駿だったらまともな答えなんて絶対返ってきません。長嶋茂雄のバッティング論みたいなもんですから。

ともかく、ヒロシの作品は分かりやすい。作品の背景、文脈がはっきりしてる。とっても教科書的な現代アートだと思ってます。

やっぱりさっきから微妙にほめてるようには見えませんが、わたしはスノッブヒロシがホントに好きなのよ。

 

根府川の絶景で期待が高まる舘ひろし

そんなみんな大好きなヒロシですが、神奈川県は小田原に、彼が作った美術館っていうか文化施設があります。名前は江之浦測候所

完全予約制で、チケットをセブンイレブンで発券する必要があるのに、最寄り駅の根府川周辺にはセブンがないという初見殺し。

最近は当日予約も始めたらしく、朝に電話で予約して現地で料金を支払うってこともできるみたい。でも、定員が決まってるので、事前に予約しといたほうが無難です。電車で行く人は、送迎バスも予約しておきましょう。

予約当日、えっちらおっちら東海道本線に揺られて、根府川駅に到着。

この駅が実に風情あって、いい感じ。相模湾を臨む崖の上にある駅なので、海を一望できちゃうんです。

ちょうど貨物列車が通ったので撮ってみました。f:id:mondobizarro:20190305142734j:plain
やだ……あたし撮り鉄を感じてる……。

ホームをつなぐ跨線橋の清楚なたたずまいに、胸がキュンとなること請けあいです。f:id:mondobizarro:20190305142735j:plain

バックに広がる水平線が、まさに杉本博司の『海景』さながら。

これから行くヒロシの館に対して期待が高まるロケーションになってます。ところで、ヒロシの館って書くと、舘ひろしみたいですね。あぶ刑事気分も高まってきたようです。関係ないね。

 

無人の駅舎には、謎のアート展示スペースがありました。f:id:mondobizarro:20190305142737j:plain
審美眼が絶望的にゼロなので、これもヒロシの作品に見えちゃって困る。

 

観光地 よごすな 世界の 友が来る。f:id:mondobizarro:20190306170344j:plain

観光美化の看板が汚れていて哲学的です。

 

駅前の広場に駐車している送迎バスに乗り込みましょう。ゴーゴー舘ひろしf:id:mondobizarro:20190305142730j:plain

去年(2018年)の秋に行ったときの写真なので、紅葉があざやかですね。

 

つづきます。

mondobizarro.hatenablog.com