六本木の森美術館でやってる「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」を見てきました。真夏の8月はじめのことです。
結論から言うと、1990年代にソニーが調子こいてリリースしまくってた、オムニバスアルバムみたいな展覧会でした。
マライア・キャリーとかマイケル・ジャクソンとか、誰しもが知ってる洋楽ヒット曲ばかり集めた『MAX』というオムニバス盤のことです。
- アーティスト:オムニバス,シャーデー,マイケル・ボルトン,セリーヌ・ディオン,ビリー・ジョエル,プライマル・スクリーム,ジャミロクワイ,サイモン&ガーファンクル,マイケル・ジャクソン,リセット・メレンデス,C+Cミュージック・ファクトリー
- 発売日: 1994/11/11
- メディア: CD
日本バージョンの『MAX JAPAN』というのもあって、ジュディマリや奥田民生などのメンツに混じって渡辺満里奈がねじ込んであったりします。「ん? 売れた曲あったっけ? MIN JAPANかな?」と失笑を隠し切れないんですが、広~く薄~く、寄せ集めたんだけどみんな買ってくれるよね?って感じの、客を完全にアホマネーとしか見てないんだろうなっていう雑な企画盤。
さすがに「STARS展」のメンバーを『MAX JAPAN』と比較するのはネームバリュー的に全然違うんでやめますが、洋楽のほうの『MAX』みたいな展覧会だと思えば大体合っています。
展覧会は、村上隆から始まります。初期の「マイ・ロンサム・カウボーイ」もありました。初めて実物をまじまじと見たのですが、ペニペニがしっかり造形されてるので驚きました。村上の代表作と言えそうなものがチラホラあったので、最初がいきなりクライマックスだったのかもしれません。
続いて、もの派の重鎮・李禹煥。村上からの落差がすごいのでクラクラします。
草間彌生。とりあえず作品を揃えましたって感じ。
宮島達男。デビューしたころの初期型LED作品が飾られていました。
奈良美智。おっきい作品からちっさいのまで満遍なくあって、今回のアーティストの中でいちばん多い作品数でした。やっぱポップなのでお客さんの人気は高かったです。
杉本博司。写真が数点と、でっかいスクリーンで30分の映像を流してるだけでした。え? こんだけ!? やる気ないの? 杉本博司が目当てみたいなところもあったので肩透かし。
本来だったら今年はオリンピックがあったはずなので、全世界から集まってくる多国籍な人たちに日本のトップアーティストを紹介してドヤァする展覧会を狙ったのだろうと推測します。しかし、コロナになっちゃったので、日本人が日本人を見て日本人すげえか?になっちゃったこと、お悔やみ申し上げます。
やっぱ総花的なんでしょうね。錚々たるメンバーを軽くつまんで見せてるだけなので、寄せ集め感は否めず、どうにも歯がゆい内容でした。
日本の現代アートの第一線を知りたい初心者が期待して行っても、「は?」みたいになっちゃいそうで、正直おすすめするのは難しい。まったく楽しめないわけでもないけど、満足はぜんぜんできない。日本のアートってこんなもん?って評価が下がりやしないか心配です。
エレベーターのソーシャルディスタンスな図。
帰りに渋谷のレストランでディナー。大好きなお店なんだけど、もう行く機会がなくなりそう。
STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ
森美術館
2020.7.31(金)~ 2021.1.3(日)
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー