恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

丹波哲郎に時代がやっと追いついた。

ヒア アフター」を観た。豊洲で。

チケットを発券しスクリーンへと向かう途中、母親から私の携帯に電話。「おばあちゃんが危篤状態だって。今から病院行くから。覚悟しといて」とのこと。祖母は九十七歳。明日で九十八歳。誕生日を前日に控えての、まさかの急変。
とまれ、私が病院に行ってどうなるものでもないので予定通りに映画を鑑賞。
津波が襲ってくる。波に呑まれゆく人々。波の濁流が街中を蹂躙。流されるままの女性。同じく流されてきた自動車によって後頭部を強打。水中へ沈む。目の前には白い熊のぬいぐるみが浮かんでいる。光が差し込み、未だ見ぬ世界が広がる。生き返る。恋人の男性と再会。抱き合う。間然とするところのない流れ。クリントはディザスター映画も断然イケる。ゾンビ映画だってイケるんじゃないか。「インビクタス/負けざる者たち」と同様にして、「ヒア アフター」でも白と黒の激しくコントラストな映像が強く印象に残る。「グラン・トリノ」で死んだクリントの夢のよう。
臨死体験によって死後の世界を垣間見た女性。双子の兄を事故で亡くした少年。死後の世界と交信ができるマット・デイモン。この三人が、パリ、ロンドン、サンフランシスコでそれぞれの人生を歩みつつ、後半にロンドンで邂逅。そして最後。マット・デイモンの白昼夢が胸を打つ。というか頭がおかしくなりそう。ここに来て唐突に古式ゆかしいラブロマンス映画へと早変わり。
いま現在、死のふちをさまよっている祖母のことを常に頭で捉えながらに終映。
電話。祖母のこと。予断は許さないものの、とりあえずの死線は脱したとのこと。よかった。クリントはすごいな。祖母も見たのかな。ヒアアフターの世界を。