恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

★一年の計はバーク・アット・ザ・ムーン!★

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★デケイド・オブ・デカダンスのクリップ集に収められているインタビューだったと思う。モトリー・クルーのヴィンス・ニールがオジー・オズボーンについて語っていたのは。
「オジーのステージアクトをみたことあるだろ? のそのそ動いて歩き回ってさ。まるで熊みたいだ。最高にクールだぜ。オジーは俺にとって永遠のお師匠さんなんだよ」
熊みたいって例えはどうなんだろ。褒めてるといえるのだろうか。昔から疑問だったりする。

★高校の同級生のハマタくんだったかな、彼からオジーの逸話を教えてもらったことがある。
「飛行機事故で命を落としたランディ・ローズ。彼の死体には首がなかった。オジーはランディの首を探して、夜な夜な山の中を歩き回ったんだってさ」
本当の話かどうかは知らない。そもそも「夜な夜な」っていうのが、ちゃんちゃらおかしいように思う。日の明るい昼間に探せばいいのにって、大人になった今なら常識的にそう思う。でもあのときの私は今よりはるかに大人じゃなかった。だから彼の話を鵜呑みにしてた。ハトやコウモリを噛みちぎるオジーなら、鵜を丸呑みするなんてちょろそうなもんだから。

★偉大すぎるオジーの足跡を追った映画「オジー降臨」で、やはりモトリーのトミー・リーは語っていたり。
「ツアーで泊まったホテルのプールサイドで、ハイになったニッキーが地面におしっこして、それを舐めだしたんだ。そしたらオジーも負けずぎらいなもんだから、ニッキーのおしっこを舐めだした。馬鹿騒ぎしてる俺たちを見かねてホテルの警備員がやってきた。だから俺はオジーを部屋に連れて行ったんだ。そしたら部屋に入るなりオジーは全裸になってうんちをひり出しやがった。あげくの果てにそのうんちを壁に塗りたくりだしたんだ。オジーが壁に向かってるうちに俺は部屋から逃げ出したよ。うんちをするならトイレがいちばんさ」
最後のオチはともかく、オジーとの思い出を語るトミーの体型はとてもソリッドで、昔からぜんぜん変わってないように思う。それに比べてヴィンスときたら。しょっちゅう太りやがって。オジーが熊なら、樽りまくるヴィンスは巻きグソだろが。

★映画の中でオジーは、自身をひどく貧しい生まれだと強調している。しかし、幼いころの写真をみると、きれいなおべべを着させられているし、トイレもないといわれるほどの貧困ぶりだとは、どうにも考えにくい。
ブラック・サバスでデビューしたオジーは、最初のアルバム「黒い安息日」でいきなりブレイク、そこから一気にスター街道。オジーは当時を振り返って、俺はロックスターになったんだと明言している。
売れまくってお金がありあまり、ドラッグと酒に溺れまくるオジー。ありとあらゆることのやりすぎでブラック・サバスを解雇されるものの、一年も経たずして、ランディ・ローズという神ギタリストをバンドに配し、ソロとしてデビュー。最初のアルバム「ブリザード・オブ・オズ~血塗られた英雄伝説」は、またしても売れまくり。その後、六十歳に至るまで人気が衰えることもなく、やっぱずっと売れまくり。オジーの人生に落ち目なんて、ないとしか思えない。

ポール・マッカートニーはオジーを絶賛するべく斯くも語った。
「世の中に光と闇、善と悪があることを、ブラック・サバスは深くとらえていた。オジーはそれを体現している」
ポールによる光と闇のたとえ通り、オジーはスターダム街道という光の道を歩いているだけではなく、闇に包まれた路地だって進んでいる。コカインの吸いすぎ、ウイスキーの飲みすぎ、仕事のやりすぎで離婚、ドラッグのやりすぎによるハトの首かみちぎり、粉のやりすぎでコウモリを食べまくり、酒のやりすぎ、アル中すぎによる家族との不和、などなど闇の裏街道も歩く。とはいっても、ぜんぶ酒とドラッグに溺れたオジーが悪いわけで、人生に陰があるといっても、ランディの事故死は別として、ほとんどの陰はオジーが自分で振りまいた種から生まれたヒマワリによる日陰である。
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★オジーの息子によって作られた「オジー降臨」は、オジーの栄光ばかりに終始する映画なわけで、オズマニアはだからこそ歓喜する。コンサート前、控え室のオジーは、ストレッチをして、トレーニングマシーンで体をととのえ、自分専用のボイストレーニングビデオで声の調子をつくりあげ、静かに扉を閉ざし、ひっそりと祭壇に祈りを捧げる。
オジーはファンとの写真撮影を快く受け、ファンへのサインを怠らない。俺が死んだときはタンポンでもつけてタダでサイン入りポスターを配ればいいさと、オジーは悪態をつく。飽くなき名声を求めるオジーのプロフェッショナル精神がスクリーンに吠え続ける。

★「月に吠える」のクリップをみて、いまのオジーは語る。
「昔から嫌いだ。センスが悪すぎる」
みんなが心の底から思ってたことを言葉にしてくれる。偉大なオジーを見習って、わたしも六十代が目前になったら断酒しようと思う。それまでは酒を飲みまくるんだ。オジーが教えてくれた。クレイジー・トレインを飛び降りるのは年をとってからでも遅くないんだよ。