恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

カルロス・ゴーンのアートな遺産

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横浜のニッサンパビリオンで「日産アートアワード2020」を見ました。ずっと前に終わってるイベントなので、もうやってません。すでにグランプリも発表されています。

 


もともとこのアワードは、日産の会長だったカルロス・変装・ゴーンが推進したものらしいです。ゴーンが絡んでたとなると、日産の中の人たちは面白くないだろうし、今後の日産のお家事情によっては無くなっちゃったりしちゃうのかな。

 

今回は、大好きな風間サチコさんがファイナリストに選ばれてたので、行ってきたのでした。

 


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会場のニッサンパビリオンは、日産による体験型エンタメ施設という触れ込みですが、要は自動車の期間限定ショールームよね。車への興味が皆無すぎるので、他の展示には目もくれず、アートアワードへ真っしぐら。

 

と思ったのですが、どこで展示されてるのか特に案内がないので分かりません。近くのスタッフの人に聞いたら、「あーとあわーど? なにそれおいしいん?」みたいな顔をして「分からないのでインフォメーションで聞いてください」と言ってきました。

 

スタッフも知らないぐらいに秘密の小部屋でやってるんかなと思いつつ、インフォの窓口の人に聞きました。そしたら、すっげえ面倒くさそうに「ライフの後ろです」とだけの、そっけない塩回答。

 

ライフ?  人生? 人生の後ろってなに? なんでいきなり哲学語りだしたのこの人? もしかしてここ日産じゃなくてオウムの横浜サティアン??? 

 

頭の中がハテナでいっぱいになって脳がショートしちゃいました。おそらく「ハァ???」っていう侮蔑の表情が、私の顔に出まくっていたんだと思います。窓口の人が忖度してくださって、「後ろにある白いのがライフで、それの裏側になります」と、やっと親切に教えてくださいました。

 

初めて来た人間が「ライフ」なんて分かるわけねえだろ! あたまエルグランドか! そんなんだからゴーンに食い物にされんだよ! 今すぐ日産つぶれろ! やられろ日産!!!などとは夢にも思わず、にっこりと感謝を伝えました。 

ルネッサンス ― 再生への挑戦

ルネッサンス ― 再生への挑戦

 

 

で、言われた通りにライフとやらの裏側に回ってみました。

 

ありましたね、トイレが。

 

ちょっと待って! え? なに? 便所にアートが飾られてるってこと? 便所がアートなの? デュシャンデュシャンなの? いきなりデュシャンぶっ込んできたの? アートが現代してるの???  

Marcel Duchamp, 1887 - 1968: Art As Anti- Art (Basic Art)

Marcel Duchamp, 1887 - 1968: Art As Anti- Art (Basic Art)

  • 作者:Mink, Janis
  • 発売日: 2000/11/01
  • メディア: ペーパーバック
 

 

パニくって、尿意も便意も全然ないのにトイレを覗いてみましたが、やっぱ普通のトイレでした。カルロス・ゴーンのゴの字も見当たりません。

 

レバノンでゴーンすっぞ!と怒りスカイラインに達しましたが、トイレより手前、奥まったすっげえ目立たない暗がりに、アートアワードの看板がひっそり出てるのを見つけました。日産、相当やる気ねえなこれ。さっさと日産はカルくロスしてゴーンしろ。なんにせよ、ようやく展示会場にインできます。

 

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開場に入るとすぐ目に飛び込んでくるのが、風間サチコによる2018年の傑作「ディスリンピック2680」。ニューヨークのMOMAに収蔵された作品です。

 

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近寄って見れば見るほど、ディテールが細かい。人民が密になっております。失われた光景に思わず涙ぐみます。オリンピックがコロナであんなんになっちゃったので、黙示録としても価値の高まった作品ではないでしょうか。

 

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アワード用の新作もありました。

 

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左が「PAVILIONー地球のおなら館」、右は「PAVILIONー白い巨象(もんじゅ)館」。2025年の大阪万博を見据えたのでしょうか。オリンピックみたいに万博も吹っ飛んだりしなければいいんですが。大丈夫なんでしょうか。

 

 

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続いては、三原総一郎による「無主物」。空気中の水分を集めたり、水滴が落ちてきたりする作品。繊細です。

 

 

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土屋信子の「Mute-Echoes」。なんとも形容しがたいオブジェなやつ。

 

 

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和田永の「無国籍電磁楽団:紀元前」。世界中の5人に日本から楽器の設計図を送り、5人は古い家電製品を基にした楽器を作って、みんなで演奏を楽しもうじゃないかっていうアート。並んでいる5つのモニターに5人の映像が同時に流れます。

 

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ブラウン管でドラム的なもの作ったり。

 

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扇風機を楽器にしたり。

 

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ラジカセを改造したり。

 

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ブラウン管で弦楽器。

 

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これはバーコードリーダーを使って作る予定の楽器。世界的なパンデミックで日本から荷物が届かないとのこと。もろにコロナ禍の影響を受けています。

 

映像が集まって演奏会になる見せ方はリモート会議っぽい感じにもなってて、時代にジャストフィットしてるので、これがグランプリで決まりかなって素人目には思いました。でも、グランプリは次のでした。

 

 

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潘逸舟の「where are you now」。光り輝くテトラポッドです。プリズ魔がグランプリだなんて、帰ってきた郷秀樹もヒデキカンゲキでしょう。

 

 

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近くには横浜アンパンマンこどもミュージアムもありました。ゴーン死すともアートは死せず、そのアンパンチで日産にとどめをさしてやりなさい。

 

 

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日産アートアワード2020
ニッサン パビリオン
2020年8月1日〜9月22日
11:00〜19:00(土日10:00〜)
神奈川県横浜市西区みなとみらい6-2-1