恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

リーアム・ニーソンを雪山に放り出したらどうなるのか?

トニー・スコットを追悼すべく、彼が製作総指揮をした『THE GREY 凍える太陽』をみました。ららぽーと横浜のTOHOシネマズで。
一行で言うなれば、おっさんどもがオオカミどもと雪の中でひたすらじゃれあいっこする映画。
まさに、おおかみどもとおっさんと雪。

左のポスターが、この映画の演出をよく表している。バラエティ番組でよくある企画として、リアクション芸人を幽霊の出る洞窟にひとりで潜入させたり、出川哲朗をジェットコースターに乗せたり、出川哲朗バンジージャンプさせたりするものがあります。番組の制作者は、出川の表情を逃すまいと、彼にかぶせたヘルメットにCCDカメラを付ける。
そんなバラエティ番組の鉄則と同じように、この映画でもカメラがやたらとリーアム・ニーソンにへばりつく。
要するに、リーアムを雪山に放り出したらどうなるのか?
そういうドキュメントバラエティな映画だと思ってくれてかまわない。
この映画において重要なのは、リーアムを筆頭としたおっさんたちの表情に他ならない。なので、引きの映像など、たまにしかない。雪の風景をロングショットでたっぷりとみせてくれないものだから、雪よりも印象に残るのはおっさんどもの顔という顔。雪山が舞台のはずなのに、あつくるしい印象だけをひたすら残す。
最初の飛行機のシーンで客室乗務員の女性が数人出てくるけど、飛行機の墜落により全滅。あまつさえオオカミの餌となる始末。目も当てられない。おっさんの画ばかりが続くので。
色気のある映像など一切ない、男による男のためのおっさん映画。おっさん同士のチューもあるよ。
ところがどっこい、実際はオオカミだと思われていた動物は狼男たちであり、ゾンビ化したエスキモーやビッグフットなどの冬の魔物たちがやがて登場し、クライマックスは雪原上での各勢力が入り乱れての大乱闘、リーアムによる大立ち回り、最後は見目もすこぶる麗しい雪女とリーアムの素敵なファック、めでたしめでたし。という映画だったらどんなに良かったか。