東京で生まれ、東京で暮らして三十数年。その人生の内のほぼ半分、原付二種で都内を縦横無尽に駆け続けた私。その私が私用で電車なんてものに乗るのは、一週間に一回あればいいほう。とにかく原付二種に乗りまくり。
そうです、東京における移動の手段なら原付二種が鉄則です。
なぜ原付二種なのか？
原付みたいに、２段階右折だ、法定速度30キロだなんて鬱陶しいしがらみが原付二種にはないからです。かといって中型・大型じゃデカすぎ。切り返しだって苦労する。駐められるところも限られる。それでも原付二種なら、原付二種ならやってくれる。なんといっても都内の道路でなら十分速い。これに尽きる。
映画を観に行くのはもちろん原付二種。
豊洲だとか豊島園だとかのシネコンは駐輪場完備。あなたの最寄りのシネコンにも駐輪場があるだろう。別に近場でなくたっていい。原付二種で30分も走れば、なかなか遠くまで行ける。虹の向こうまでだって行ける。西方浄土の先にあるシネコンがあなたの行きつけの映画館になるわけ。実際、私は豊洲の近くに住んでなどいない。目黒区在住。でも豊洲に通ってる。ちょっとしたツーリングみたいなもん。原付二種での移動は楽しいですよ。一緒に風になりましょう。ナウシカなう。
豊洲とか豊島園とか遠すぎ、どうしてもメジャーな地区がいいっていうなら、例えば新宿。
ピカデリーかバルトのまぁ近く、新宿区役所にはバイクの駐輪場（有料）があります。無料がいいんだいっ！と強情な人は、原付二種を我慢して普通の原付に乗ればいい。ピカデリーの真ん前なら無料で駐められるよ。新宿付近の靖国通りは自転車・原付がタダで駐められるのです。
もしあなたが渋谷区に行く用事の多い人なら、特に原付二種はオススメ。
渋谷区はバイク駐輪場の整備に力を入れてて、しかも安い。渋谷駅周辺の駐輪場は２時間無料、それ以降は４時間ごとに100円。渋谷区では原付二種を原付と同じくくりにしてくれているので、原付と同じ値段で駐められる。よって、シアターNだとかシネマライズだとかシネマヴェーラだとかイメージフォーラムだとかシネマ・アンジェリカだとか、観に行くのに大して苦ではない。恵比寿だったら駅の下に区営の駐輪場がある、そこに駐めりゃ、あとは歩くエスカレーターで恵比寿ガーデンシネマなんてあっという間。実際はあっあっあっあっという間ぐらい。とにかく。このへんとシネコンを抑えとけば、大概の映画は観られるのです。観られるのですよ！
駅周辺の駐輪場に駐めても結局は15分ぐらい歩くじゃん、だって？ お嬢さん、わがまま言っちゃいけねえ。電車に乗ったときのストレスや時間を考えれば、精神的に十分お釣りが来るでしょうに。交通費を考えても実際お釣りが来る。その浮いたお金でパンフ買うとかして映画館に還元しましょう。映画は映画館があっての映画です。
なお、バイクの駐輪場を調べたい人には、バイク駐輪場検索サイト「バイクを停めたい」がオススメです。
ちなみに私は昔、世田谷に住んでて、職場が市ヶ谷だったとき、もちろん原付二種で通ってました。会社は市ヶ谷駅から歩いて20分のとこだったけど、会社の敷地に原付二種をラッキーなことに駐められた。もし会社に電車＋徒歩で行けば下手すりゃ１時間掛かるだろう、そんなところを原付二種なら30分程度で行けるのです。
満員電車で痴漢に間違われるリスクを取らずとも、ぎゅうぎゅう詰めの車内でヨガをせずとも、そして、柔道部の合宿所の目の前にあった坂にも匹敵する勾配の、市ヶ谷から納戸町方面への坂をアクセク徒歩で上らずとも、原付二種ならスススイーっと行けるわけ。朝だって30分余計に寝てられる。通勤に体力も神経も使わないことで仕事にバリバリ励めます。これが原付二種パワー。
しかし、ある日、免停になりまして、そんな市ヶ谷という僻地になんと電車で通う羽目に。結局、電車通勤に耐えられず、速効で会社やめました。こういうこともあるのです。
つまり原付二種は麻薬なのです。一度乗ったらやめられない。
それでもあなたは原付二種に乗りますか？
