恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

倫理と暴力と道徳と。

冷たい熱帯魚」を観ました。川崎はTOHOシネマズで。

えーっと、なんて言っていいのやら、すごかった。
「埼玉愛犬家連続殺人事件」に範を取った映画。この映画で主犯格を演じているでんでんが実際の事件の主犯に似ているだけでなく演技も鬼気迫るもので圧倒されっぱなし。
暴力によって倫理や道徳、ひいては人間の生き方までが立ち上がっていくので、日本版「ファイト・クラブ」とも言える。生きるってのは痛いことなんだ。痛すぎるわボケ。
タナトスと相性のいいのはエロスに決まってるのだけれども、セックスセックスセックスが充溢してるので、作劇におけるツボをまったく外していない脚本。
監督の園子温曰く、

今回は“徹底的に救われない家族”を描いてみました。何にでも希望を持たすのはイカンと思うんですよ。ダメなものはダメだと。そのくらい徹底したほうが活力になる。

とのこと。貧しすぎる食卓ひとつ取っても“徹底的に救われない家族”が描かれていて見事。
冷たい熱帯魚」は、家族の救いを最後に描いた黒沢清の「トウキョウソナタ」と合わせて観るのが最適解でしょう。この映画は黒沢清に対する挑戦になってると思われます。
最後に。

俺はキリスト・マニアで、キリストのファンクラブがあったら入りたいと思ってた。でもそういうのはないから、何度かキリスト教に入信しようと思ったけど結局無理だった。それでもやっぱりキリストは好きで、いつかはキリストの映画を撮ってみたいね。

史上初のロックスターはキリストだと思う。若くして死んだっていうのもロックスター的だし。

園子温が言ってるように今回も基督教が主だったファクターとして登場。