恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

「バベルの搭」展プレミアムナイト鑑賞会の良いとこ、不満なとこ、ザックリと。


2017年5月9日の夜に東京都美術館で開催された、『ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲルバベルの塔」展 16世紀ネーデルラントの至宝 ― ボスを超えて ―』、正式タイトル長いよね、いわゆる「バベル展」のプレミアムナイト鑑賞会に行ってきました。
プレミアムナイト鑑賞会とは、札束でキリストの右ほほを引っぱたきたい人間(200人)だけに展覧会を鑑賞させてやるという会です。つまり、お金に魂を売った資本主義世界ならではの鑑賞システムです。

通常、都美は17時半に閉館します。しかし、マネーに糸目を付けない我々200人、ブルジョワの中のブルジョワ、つまりブル中野は、閉館後の18時から2時間にわたり美術館を独占できちゃうんだよ。通常の閉館時間において、財布ペッラペラな貧者どもがイバラのムチで追い立てられるさまを尻目に、ブル中野ヅラで悠々と美術館に入っていけるセレブな極悪同盟の優越感が味わえちゃう。

これがわずか5000円!

野球場の外野で売ってるモツ煮換算で10杯ちょいのお金を出せば ブリューゲルのバベルを200人占めできるのです。展覧会の当日券が1600円なので、チッたった2時間のために5000円かよ地味にたっけーな学食のビーフシチューが10皿食べられるじゃん、なんてことはおくびにも出さず、迷わずチケットをポチって当日を迎えました。

以下の画像が、プレミアムナイト鑑賞会のプログラム。

行ってまずビックリしたのが、貴重な2時間のうち20分間はレクチャーの時間だってこと。実質、1時間40分しか鑑賞時間ねーじゃんと思って、プログラムを見ると2時間の中にレストランでのドリンクサービスも含まれちゃってるファッキンさ。シャンパングラスをゆっくり傾けてピローっぽいトークを交わす時間まで考えると、鑑賞にあてる時間は1時間半もねーじゃんっていう鬼スケジュール。せめて2時間はゆったり鑑賞したいブル中野からすると慌ただしすぎるよねと気が急くブル早漏

と、レクチャー始まる前からブーたれてたブル中野ですが、東京都美術館学芸員で、役職ある人のありがたいレクチャーは非常にタメになりました。オランダ美術のテーマが、宗教から風景、風俗、人間中心に移っていったことを理解できました。ブリューゲルやボス、ひいてはオランダ美術について不勉強なまま赴いたので、レクチャーあってとっても良かったです。ただ、レクチャーの時間は17時40分からにして、鑑賞時間をしっかり取って欲しいと思いました。

結局、レクチャーは若干押して18時21分に終了。いそいそと展覧会場に移動して鑑賞タイム。やっぱ200人限定って最高でした。みんな程よく場内に散らばってたので、メインのバベルですら余裕でじっくり鑑賞できます。場内を何度も行ったり来たりして楽しみました。実際に見るバベルは想像以上にちっちゃな絵画なのに、細部まで細密に描かれています。そんな綿密たる絵画を双眼鏡で鑑賞したので、スケール感がおかしくなって、自分は一体なにを見ているんだろうと、クラクラ幻惑しました。たのしい体験です。

プレミアムナイトの開催時間は、いつもなら閉館してる時間なので、グッズショップはやってないのかなと心配してたのですが、普通に営業してました。いそいそと定番のマグネットやポストカードを購入。ブリューゲルバベルの塔を模したはずなのに造形が住宅街にある古墳のようなフォルムのチョコレートケーキがとても気になりましたが、この壊滅的な造形をヤハウェは断じて許すまじと思い、我慢して買いませんでした。

鑑賞後、ドリンクサービスのレストランに移動してスパークリングワインを飲みました。てっきり一人ワンドリンクだと思ってたのですが、周囲を見ているとバンバンおかわりしてるではありませんか。ブル中ならぬアル中がいっぱいいました。どうやら何杯飲んでも良かったらしいです。私は自制心が発達しているので1杯でやめました(実際はツマミがないので胃がただれたのです)。定時きっかりまでレストランにいましたが、終了時間ギリギリに入ってきた人たちもいたので、プログラムに書いてある20時までという時間を真に受けずに、もっとゆっくり鑑賞しても良かったのかなと思いました。

ちなみにプレミアムナイトの参加者は、お土産がもらえます。図録もしくは図録と同等の金額分のオリジナルグッズ。ちなみに図録は2500円。そこに当日鑑賞券の1600円を足したら4100円です。プレミアムナイトのチケットは5000円。差額は900円ですが、レクチャーやドリンクサービスもあるので、この企画は確実にお得です。もっと取ってもいいぐらい。今回と同じ美術館でやってた、デス行列だった伊藤若冲動植綵絵展でもやって欲しかった。200人占めできるんなら1万円でも余裕で出しましたわ。

まとめ。

プレミアムナイトの良いとこ:
・200人限定なのでゆったり鑑賞できる
・チケット代に図録が含まれているのでお得すぎる
・レクチャーがありがたい
・ドリンクサービスも嬉しい

プレミアムナイトの不満なとこ:
・レクチャーは企画時間に含まないで欲しかった
・ドリンクサービスも企画時間に含まないで欲しかった
・ここに書いたことを美術館側に伝えたかったけどアンケートがなかったのでブログに書きました

そのほか:
大友克洋インサイドバベルは、チケットを必要としないスペースにあったらしいのですが、場所が良く分からず、時間も限られてたので探す時間なく未鑑賞。

おもしろかったこと:
バベルの絵があまりにちっちゃいものだから、親切なことに拡大コピーしたバベルの絵が近くに展示されてます。本物が近くにあるけど、結局みんなコピーのほうばかり真剣に見てしまうという、えも言われぬシチュエーションがおもしろかったです。現代のわれわれにとって本物のリアルは疎ましく、模造品にこそ親近感を抱くという、シュミラークル時代を生きているのだとかなんちゃらかんちゃら。