恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

おまえうまSawだな。

★「おまえうまそうだな」を観た。109シネマズは川崎で。

冒頭、草食のお母さん恐竜が川上から流れてくる卵を拾うところで、いきなり泣く。
その後、お母さん恐竜が卵を必死に守る姿に泣く。そして生まれてきた肉食の恐竜の子どもを、自らが産んだ子どもと変わりなく愛情を注ぎこみ、育てる姿にまた泣く。その子を捨てるようにと群れの長から命令され、捨てに行くもののやっぱり捨てられず引き返す姿にまたまた泣く。群れを離れる決意をし、一人で子どもを育てる姿にもう号泣。歳を取ったせいなのか、異常に涙もろくなってて困る。まだ惑わぬ年にもなっていないのに、歳のせいにするのもなんだけど。
主人公のオオアゴ恐竜・ハートが生まれて初めて見る草原の広さ、ほかのオオアゴたちによる肉食の荒々しさ、そして自らも肉食に目覚めてしまったときの凶暴さ、などなど、新しい世界に触れたときの新鮮な感情の数々を、非常に丁寧なアニメーションで表現していて、作品世界にすっかりのめり込める。
映像表現も上等だけど、シナリオも非常に秀逸で、物語において必要な要素はぜんぶぶち込まれてるように思う。貴種流離譚であり、住み慣れたコミュニティからの出立と別離があり、老僧との出会いがあり、父殺しのエピソードも入ってくる。要するに神話レベルのシナリオが構築されていて、誰の心にも届きやすい物語となっているため、非常に感動しやすい。
そんな野暮なことはともかく、クライマックスでは、雪景色にも似た白一色の舞台で決闘が行われ、映画としてあるべき美しさがスクリーンに繰り広げられる。演出が手抜かりない。全国シネコン系の邦画を作ってる人たちは「おまえうまそうだな」から学ぶべき点が多々ありますよ。

★一年に一回、必ず平和島に行く。血みどろ残酷デス描写を観るために。それも今年で最後になるだろうか。

というわけで「おまえうまそうだな」を観た後、平和島シネマサンシャインに移動して「ソウ ザ・ファイナル 3D」を観た。
はっきり言ってずっと惰性で見続けているシリーズなので、お話の流れを毎回ぜんぜん覚えていない。始まる前に今までのソウ集編を流してくれるが、記憶の溶解は深刻だ。
そもそも、この手の映画はザンコック表現をひたすら見せてくれればいいわけで、人間ドラマとか不要だと思う。とはいえ、さすがにシリーズの掉尾を飾る作品とあって、もはや主要なメンバーしか残っていない。そのため今まで適当に観てきた私ですら登場人物の把握は容易であった。
お話のソウ括としては、シリーズの1に戻っていき、無理やりとはいえ輪を繋いだ感もある。不満だらけではあるが、やれやれやっと終わってくれたと胸がいっぱい、ソウ快です。ビッチが死んでくれて本当によかった。まぁ、今後いくらでも続編が作れる終わり方だったけど。
なお3D映画としては、かなりいまいちな出来。「ファイナル・デッドサーキット 3D」を観たとき、3Dにいちばん向いてるのはスラッシャー映画だと確信しましたが、今回のソウはソウでもなかった。やっぱドラマやってる暇があったら、ゴアゴアだけやってりゃいいんだよっていう話。シリーズすべてのデスシーンだけを集め、さらに新規の殺し下ろしも収録した特別編集版、「ウルトラ・ソウ!」を制作してくれたら嬉しいです。