いろいろとりどりみました。
★テイク・シェルター
すべては主人公のおっさんの妄想とばかりに進んでいく映画だけど、最後の最後で嵐が客観的な証拠として現実的に提出される。妻と娘が目撃したからではない。主人公だけでなく妻と娘が嵐なるものを感知したからといって、それはまだ集団ヒステリーの域を脱さない。海を見つめる妻の横の窓、そこに嵐の姿が映し出されたことにより、やっとこさ虚から実へと遷移して、映画は幕を閉じる。
★生きてるものはいないのか
軽やかに累々たる死屍を描く邦画はかなり貴重。
★ドライヴ
雨は降りましたっけ? 降らなかったように思うんだけど。降ればよかったのに。
★トロール・ハンター
ドキュメンタリー部分がかったるいけど、モンド映画としては大事な要素なのだろう、我慢した結果たくさんの怪獣がみられてご満悦。
★スーパー・チューズデー 正義を売った日
ジョージ・クルーニーが下世話でよかった。星条旗は上下と左右ともに非対称なので、逆さまにしたり裏に回ったり、イメージを変転させられるのでおもしろい国旗。
★311
きわめて無責任な物見遊山な映画だけれども、そんな映画だろうなと薄々ながらに感づいた上で劇場に足を運んだわたしだって、同じ穴のキズナもといムジナ。いくらだって批判できるけど、みてしまった以上あなたはハシゴに登った態度で批判できるんですかと。死体がみられてよかったじゃないかと。仮にも映画ならばクライマックスや落としどころはどこかに必要。それをわたしたちは求めていたでしょう、ということ。
★アーティスト
監督が「とにかくサイレント映画をたくさん観て、その“ルール”を頭に叩き込んだ」と言うように、お勉強だけで作られた映画。サイレント映画を讃歌するのではなく、サイレント映画を貶めるためだけに作られた映画。懐古主義ではなく、ただひたすら現実にしがみつきたがる映画。映画からいちばん遠いところにある映画。だから安心して最低な映画だなと評価できる。そんな程度。