恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

カリコリ。


会田誠の『カリコリせんとや生まれけむ』を読んだ。
小説だと勝手に思い込んで読み始めたらエッセイ集だったのであら驚いた。臆断はいけませんことよ。
会田誠の描く少女画からは匂い立つほどの性欲っていうものがほとんど感じられない。
会田誠の少女や少女やスジマンや少女には、色気っていうものが全然ない。そりゃそうだ、少女だもの。青き衣をまといし者が降りたつのは、金色の野であって、赤色のパンツではないのだ。宮崎駿の描く少女といっしょ。ひたすらに清潔で清純で清清してる。
会田誠の作品にただようすがすがしさ、もっと推し進めて言うならば、さむざむしさの正体が、この本には書かれているように思う。もっとも芸術家の語る言葉を鵜の如く呑み干すのは危険だと思うけれど。
それでも真面目だなと思う。会田誠は真面目だ。

たまに美術大学で教える立場に立たされると、あまりに個人的で趣味的な世界に閉じこもった学生の作品群に苛立ち、心ならずも「もっと社会や歴史に目を向けろ」なんて口走っていたりする。

「絵バカ」で展示された「灰色の山」もよかったけど、相対的にならずに個人的で趣味的な世界に耽溺した会田誠の絵も見てみたいなと思う。