恥とマスは掻き捨てナマステ

ヨーグルトが好きです。アートと映画と音楽と野球は、もっと好きなようです。

赤ましておめでとうございます。

如月の染め始めは風の強い日であった。バイクで豊洲の映画館に向かう道すがら、何度も風に攫われそうになり、国道1号線における風の通りの良さには気をつけなければと思う。こちらの心構えなど風は頓着してくれない。いつだって不意打ちでやってくる。
というわけで今年の初エントリー。
RED/レッド」を観ました。豊洲で。今年観た映画の14本目。過去の13本はおいおいエントろう、そうしよう。

活劇は不意に訪れる。活劇が日常と地続きのままに繰り広げられる。この映画に「よーいドン!」で始まる活劇などない。そんな無粋さはこの映画において見当たらない。シームレスな活劇。とても品がよい。
死んだと思ったら生きていた。だからまた生きてるのだろう。そう思いきや本当に死んだようだ。その後は一度も出てこない。必要以上に語り継ぐこともしない。愁嘆場などという下品なものは用意されない。
終盤、腹部を撃たれたヘレン・ミレン。「もうだめよ」と観念する。それを聞いたジョン・マルコヴィッチ。彼のリアクションといえば頷きを返すのみ。そして重傷のヘレン・ミレンを残して彼は去っていく。演出がとっても瀟洒。画面に涙など映し出されない。しかし感動できる。
最後、今までの洒脱さが嘘であるかのように、品の無いキスが出てきたので愕然とした。けれど、そのキスを得るための活劇であり物語であったわけだから、一概に否定もできない。しかし他に描きようがあったようにも思う。ちょびっと残念。
とはいえ。
全体的には洗練されていて良い映画でした。